なぜ国会議員には不逮捕特権が定められているのでしょうか。
それは、①会期中の議員の身体的自由を保障し、政府によって国会議員の職務執行が妨げられないようにすること、②議院での正常な活動(審議)を可能にすること、の2つが理由だとされています。
君主や政府が権力を利用して対立する議員を不当に逮捕したり、議員の職務執行を妨害するために逮捕した事例があったという歴史的背景を踏まえ、その反省からこのような権利が認められました。
また、なぜ、国会議員の不逮捕特権が日本の最高法規である憲法で定められているのかというと、それは上記①②をきちんと確保するためだと思われます。法律改正と違い、憲法改正は厳格に定められた要件を満たさなければできず改正のハードルが非常に高いです。国会議員の不逮捕特権が憲法で定められていることは、政府による不逮捕特権の無効化や形骸化を防いでいるといえるでしょう。
会期中に逮捕された事例はある
会期中でも、所属する議院の許諾があれば国会議員を逮捕することができます。その許諾の検討に先立つ逮捕許諾請求は内閣が行うのですが、憲法施行後、内閣の議院に対する逮捕許諾請求がなされた事例は20件ほどで、過去に所属議院の許諾が出て国会議員が逮捕されたケースがあるかというと、複数あります。ですが、最後のケースは2003年であり、それ以降はありません。
不逮捕特権は国会議員の活動の自由を保障する重要な権利ですが、この権利の制定時と現代では、社会情勢が大きく変わっています。不逮捕特権やその他の国会議員の権利について、現状を踏まえた議論がなされることは重要だと思います。
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