酷すぎる派遣会社と対峙、49歳男性救った「知恵」 勤務時間カット、残業代15分切り捨て、逆切れ…

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派遣労働者として働き始めたのはここ数年。別の派遣会社でも、働き始めてすぐに別の部署に移るよう指示されたり、契約にはない施設内の掃除に駆り出されたりと、どの現場でも多かれ少なかれ闇深さは感じたという。

経済界や企業側は、雇用の調整弁として派遣労働者は必要だという。その主張には一理あるかもしれないが、それは「派遣労働者」と「派遣元会社」、「派遣先会社」の関係が対等であることが前提だ。現在のように派遣元は派遣先の顔色をうかがい、そのしわ寄せは労働者に行くようないびつな構造を改められないなら、労働者派遣法は対象業務を拡大する前の仕組みに戻すべきだ。

物価高で月1回の外食も断念

ヒデアキさんは「漫画家を目指したことに後悔はありません」と屈託のない笑顔で振り返る。ただ「『非正規労働者』といわれることが嫌なんですよね」という。「非正規」という言葉に否定的なイメージがあるからだという。

そういえば数年前、厚生労働省が同じ理由で、パートや派遣で働く人を「非正規」と呼ばないよう、省内に通知したことが問題になっていた。ヒデアキさんの気持ちはわかる。でも、呼び方を変えても実態が変わらなければ意味はないのではないか。

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現在、ヒデアキさん一家の暮らしを空前の物価高が直撃している。両親からの援助もあり、すでに持ち家を購入していることがせめてもの救いだが、世帯年収は保育士として働く妻の収入と合わせても400万円に届かない。

最近はどう家計をやりくりしても、月1回の外食ができなくなった。外食といっても行先はチェーンのラーメン店か、回転ずし。家族の楽しみがなくなったことに、中学生と高校生の子どもは察したように何も言わない。しかし、小学生の末っ子からは「ラーメン食べたいよー。最近、全然行ってないじゃん」と文句を言われる。どちらも切ない気持ちになるという。

本連載「ボクらは『貧困強制社会』を生きている」では生活苦でお悩みの男性の方からの情報・相談をお待ちしております(詳細は個別に取材させていただきます)。こちらのフォームにご記入ください。
藤田 和恵 ジャーナリスト

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ふじた かずえ / Kazue Fujita

1970年、東京生まれ。北海道新聞社会部記者を経て2006年よりフリーに。事件、労働、福祉問題を中心に取材活動を行う。著書に『民営化という名の労働破壊』(大月書店)、『ルポ 労働格差とポピュリズム 大阪で起きていること』(岩波ブックレット)ほか。

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