賃金未払いについては、腹に据えかねたので労働基準監督署に訴えた。ただここでも最初は窓口の相談員に門前払いされそうになる。ヒデアキさんがメールの履歴などを見せて食い下がったところ、ようやく労働基準監督官が現れて申告を受理。後に派遣会社は是正勧告を受けたという。
そして、極めつきは労災をめぐるトラブルだ。
ヒデアキさんの仕事は倉庫内でのピッキング。昨年10月なかば、脚立に上り、棚の最上段から段ボールを降ろそうとしたとき、右ひじに激痛がはしった。荷物の重さはおよそ10キロ。途中で放り出すわけにもいかず、なんとか床まで降ろしたものの、後日、病院で「上腕骨外側上顆炎」、いわゆるテニス肘と診断された。
労災申請もまともにとりあってもらえず…
労災の可能性が高い。ところが、ヒデアキさんが会社側の作成した申請書類を確認したところ、高い場所から重い荷物を降ろす作業中だったことについて一切触れられていないことがわかった。代わりに「縦横1センチ、高さ15センチの製品を持ち上げる通常作業」との記載があった。縦横1センチ、高さ15センチといえば、ボールペンほどのサイズにすぎないではないか……。なぜ荷物の重さを書かないのかと抗議すると、担当者は「上司が書かなくてもよいと言った」と責任転嫁する始末。最後は「あなたの行為は業務妨害です」と逆切れされたという。
「担当者には現場で段ボールの重さも確認してもらったのに……。あんな訳のわからない書類を(労基署に)提出されても困ります」とヒデアキさん。右ひじは卓上の醤油さしを取ろうとするだけで痛む。今はステロイド注射で何とか症状を抑えている状態だ。
このほかにも、ハラスメント相談窓口を利用しようとしたところ、肝心のパスワードが周知されておらずアクセスできなかったとか、対面で行ってきた更新手続きをヒデアキさんだけ郵送に切り替えると通告されるなど、問題を上げるとキリがないという。
ヒデアキさんにいわせると、派遣先の環境もよいとはいえなかった。
半年間にわたってロッカーを与えられず、その間はロッカーと天井の隙間などに私物を置かざるをえなかった。また、キャスター付きの台車「ロールボックスパレット」を使用する作業や、箱や袋に梱包された荷物を積み上げたり、崩したりする「はい作業」に関する労災防止措置も、ヒデアキさんが知る限り不十分だったという。
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