同時に、ペナンに留学目的で来ている韓国人親子の影響もあった。
「実際に、ある程度インターナショナルスクールで英語を学んだあと、中華学校に転校させる韓国人を多く見てきました。彼らは今後ビジネスに中国語が必須であると考え、中国語を学ばなければ損だと思っているんですね。なかには中国語を学ばせるために中華学校に子どもを入れる非中華系住民もいます」
ただし、長塚さんの考え方は韓国人たちとはすこし異なる。「ビジネスのためではなく、ペナンで身近にある中華系の生活様式や文化を含めて学ぶことが、娘の将来に役立つ得がたい経験と考えました」。
中華学校受験のために中国語塾に通う子も
一口で中華学校といってもいろいろな種類がある。マレーシア政府の決めたプログラムに従った公立の中華学校もあれば、台湾式、中にはすべての教科を英語で学ぶ英国式のIGCSEカリキュラムのコースを設けている私立の中華学校も存在する。IGCSEコースは例外だが、そのほかの共通点は、中国語で主な授業が行われること。そして、欧米系のインターナショナルスクールに比べ、勉強熱心で、規則が厳しい傾向にあるようだ。
長塚さんの長女はインターナショナルスクールで中国語を選択していたが、中国語で授業を受けるには足りない。中華学校を受験するため、中国語の塾に通いはじめる。いくつかの学校を比較検討し受験した結果、ペナン市街地にある女子校に合格した。学校では初めての純粋な日本人だった。
「決め手は、中高6年間のうち、中国語で授業をする年と英語のみで授業をする年が数年ずつあるということです。これなら中国語もしっかり学べ、英語を忘れることもない」と長塚さんは言う。
中華学校というと、中国系住民ばかりが学ぶイメージだが、この学校はインド系やマレー系もおり、さらに学年により約1~2割が外国人。韓国人、タイ人、インドネシア人、イラン人など、さまざまな国籍の子どもが中国語で学ぶ。
「外国人の中にも中国語を重視し、わざわざ子どもを中華学校に入れる親がいるのです。中には中国系住民よりも中国語の読み書きが得意なインド系のお子さんもいます」
マレーシアの中華学校といえば、授業内容がハードで、規則が厳しいイメージがある。本人は難色を示さなかったのだろうか。
「最初は髪型など校則が厳しいのは嫌だと言っていましたが、こちらに来て2年で英語に自信をつけ、やってよかったという実感がある。ならば中国語も挑戦してみたい、と私の提案を受入れてくれました。実際に入ってみるとすぐに友達ができ、なじみつつあるようです」
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