マレーシアで子育てすると、何がいいのか 「英語は道具」ということが学べる国

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素直で明るく育って行く子どもたちに強い印象を受けた(写真:ロイター/アフロ)
マレーシアでの子育てが密かなブームだ。その魅力は、どこにあるのか。また、気を付けなければいけないことは何なのか。クアラルンプールで子育て中のジャーナリストが、現地ルポをお届けします。

著者とマレーシアの出会いは、1990年代に遡る。はじまりは、たまたまインターネットで知り合った華人マレーシア人夫婦に日本の観光案内をしたのがきっかけだった。1990年半ばに初めてマレーシアを訪問し、彼らの子どもたちと2週間一緒に旅することになる。当時のマレーシアはまだ今のようなキレイな街並みではなかったものの、明るく開放的で、何よりも人々が親切なのに好感が持てた。その後、17年に渡る家族との交流で、マレーシアに来るたびに知り合いが増えていった。そしてなによりも、人々の子育てに対する考え方に驚くようになる。

子どもを置いての海外旅行は当たり前、子どもがハッピーじゃなければ転校、悪いことをしたらケーンで叩く、誘拐されないようデートの送迎も親が行う、小学生から数カ国語を学ぶのは当然で、レストランに子連れで行くのは日常、ほかの宗教を尊重する、塾通いや家庭教師は盛ん、でも自殺や引きこもりは少ない――日本で育ち、留学経験もなく、異文化というものに触れたことのなかった私には大きい衝撃であった。日本とあまりに異なるマレーシア人の子育て事情に興味を持つようになった。

素直で明るいマレーシアの子どもたち

そしてなにより素直で明るく育って行く彼らの子どもたちの成長を目にし、子どものいなかった私も子育てをしてみたい、と思うようになる。マレーシア人との交流から長期滞在に至る経緯は、「いいね!フェイスブック」(2011年、朝日新書)「フェイスブックではじまる人脈構築革命」(2012年、角川書店)にも書いている。

さて、いま、マレーシアへの教育移住がブームだと聞く。私が最初にマレーシアの教育事情について取材したのが2012年の秋。当時、大方の取材先の見方としては、当時はまだ移住者の主流はシニア層で、留学組は少しずつ増えている程度、というものであった。ところが、2013年の春、マルボロカレッジがジョホールバルに鳴り物入りでオープンしたのと前後して、マスコミへの露出が増え、教育目的でのマレーシア移住が脚光を浴びるようになった。

折しも、マレーシアではインターナショナルスクールの開校ラッシュで、受け皿が結構ある。マレーシアのインターナショナルスクールには、独特の存在理由がある。生徒の多くは英語での教育を求めるマレーシア人である。マレー語を重視するようになった国の教育に対して、英語での教育を求めるマレーシア人の親のニーズに応えて次々とオープンしているのだ。なので、インターナショナルスクールといっても、マレーシア人が生徒のほとんど、というところが結構ある。

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