東大留学生は英語ができない…試験を変えろ! 日本の英語教育を変えるキーマン 斉藤淳(4)

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 こんにちは、安河内哲也です。元イェール大学助教授で、英語塾「J-PREP」代表の斉藤淳さんとの対談の最終回です。日本の英語教育は何が問題なのか? 世界の「非ネイティブエリート」をよく知る斉藤さんにじっくり伺いました。
(1)「orange→オランゲ…スペルは気にするな!」はこちら。
(2)「レット・イット・ゴーじゃない、レリゴウ♪だ」はこちら。
(3)「音のない英語教科書!? CDぐらいつけろ!」はこちら。 

“無免許運転”が多い英語塾の先生

安河内:公立高校は、4技能化は学習指導要領を通じて、何年も前から先生方に求めているじゃないですか。公立高校の先生に聞いてみると、文科省の指導では4技能を教えろと言っているのに、高校2年、3年になると、受験に左右されて4技能を教えることができない。せっかく4技能を教えろと言うのなら、入試も4技能に変えてくれと言う先生が、若い方を中心にすごく多くなってきているんです。

斉藤:塾の先生に関しては、英語に関して無免許運転の人が多いですよね。大学入試程度の英語しかできない人が、教壇に立っているケースが、実は多いのですよ。

安河内:私の考えとしては、入試にスピーキング・テストやらライティング・テストが入ってくると、先生たちも勉強せざるをえなくなる。さらに教室では、先生が生徒に上から下に教えるんじゃなくて、一緒に学ぶ形態に変わってくると思うのです。私なんかも実際そうなのですけど、笛を持って行って、それを吹いて「読んでみよう」とか「書いてみよう」とか、そういう形でやっているのですけど、それが実はいちばん成績も伸びたりしているんですよね。

だから、たぶん全国の教室で先生が生徒と一緒に学ぶようになります。これからは先生はコーチになっていくと思います。

斉藤 淳(さいとう・じゅん)
英語塾「J Prep斉藤塾」代表、元イェール大学助教授、元衆議院議員(2002~2003年、山形4区)
1969年、山形県生まれ。上智大学外国語学部英語学科卒業、イェール大学大学院博士課程修了(Ph.D. 政治学)。ウェズリアン大学客員助教授、フランクリン・マーシャル大学助教授を経て、イェール大学助教授、高麗大学客員教授を歴任。2012年に帰国し、東京・自由が丘で中学・高校生向けの英語塾を起業。自由に生きるための学問」を理念に、第二言語習得法の知見を最大限に生かした効率的なカリキュラムで、生徒たちの英語力を高め続けている。著書に『世界の非ネイティブエリートがやっている英語勉強法』(KADOKAWA/中経出版)などがある。

斉藤:あるいは反転授業が主体になっていったり。教育のインフラの変化とともに4技能入試の導入が始まりますので、ある意味でいいタイミングだったと思いますね。

安河内:完全に反転授業になるかはわかりませんが、授業の中でインプットとアプトプットをやると。今まではアウトプットがあまりなかったわけですから。

斉藤:インプットの部分は、うちの塾でも家庭でやってくるという方針です。ネイティブ・スピーカーの講師とは、議論などのやり取りをするかたちにしています。とは思いつつも、日本の教室の空気に慣れた生徒を、闊達に議論するまでもっていくのは大変なんですけどね。

安河内:この塾に来ている生徒さんたちも、スピーキングに対するモチベーションを持ちにくいのは、たぶん学校で試されないから、というのもあるんじゃないでしょうか。

斉藤:塾でいくら口の形を矯正して、この音はこうやって発音するんだってことを教えても、学校でそれが成績に反映されないですから。で、学校の定期テストの問題を見てみると、いまだにアクセントのある部分を(ア)(イ)(ウ)から選びなさい、みたいなね。バカな話ですよ。実際に発音させればいいのに。

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