東大留学生は英語ができない…試験を変えろ! 日本の英語教育を変えるキーマン 斉藤淳(4)

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安河内:その点は未定です。しかし、資格試験で代替することができるようになるから、センター試験の英語が一発勝負ではなくなります。これだったら、いっぺんにやろうとするより現実的だと思います。

斉藤:その徐々に導入するというペースを早めるというのが大切です。

安河内:換算得点までは、今の流れだと行ける可能性が高いんですね。センター56万人が換算得点を使うことになると、一気に4技能試験の時代が来ますよ。

東大入試を変えないと

斉藤:しかし、頂点から変えるという発想に立つと、やはり東大の入試を変えないとダメですね。

安河内:私もそう思います。東大には、現実的な4技能試験の得点を設定していただきたいですね。

斉藤:イェール大学時代に僕は、東大から留学してくる生徒たちを指導する立場にあったわけですけど、彼らはできないんですよ、英語が!

安河内:東大に入る子どもたちというのは、非常にインテリジェンスも高く、努力もするし、日本という国の将来の頭脳となる宝じゃないですか。その子たちの優秀な頭脳を最も国際的通用性が高くなるように開拓してあげたいですよねぇ。

斉藤:東大生が英語で発信する能力を全員確実に身に付ければ、東大の世界ランキングも上がると思いますね。

安河内:TOEFL iBTで80点取れたら、もう英語はいいから物理や数学を勉強するために使いなさいと言ってあげたいですよ。たとえばTOEFL iBTで80点取れたら、実は、そこからそんなに能力は落ちない。高校1年生の段階で80点取れたら、その後、英語を勉強しなくなるって心配する人もいますが、そのレベルを達成した人に関しては、まずそんなことはないですよね。

斉藤:そんなことないですよ。

安河内:特に東大みたいな学校は、100点オーバーのような、高校生にとって非現実的なスコアではなく、80点程度までの現実的に妥当な点数を設定してほしいですね。

斉藤:それで選抜をするというのは、妥当な判断だと思いますよ。どっちみち東大生は霞が関に就職したとしても、官庁派遣で半分くらいは留学するんですよね。そのときに、TOEFLのスコアが必要になるんですよ。

安河内:東大としても入学する生徒が全員TOEFL iBT70点から80点持ってたら、うれしくないですか?

斉藤:そうだし、カリキュラムも組みやすいですよね。4技能の実力がある程度あるということを前提にできるから。和訳の能力がどうしても必要な人たちには、和訳のコースを作ればいいだけの話です。むしろ今までの入試で課していた能力は、リメディアル教育(大学入学前の補習教育)で身に付けさせればいいんじゃないですかね。

安河内:文科省からいただいたデータによれば、東大を含む旧帝大を受験する高校生のTOEFL iBT平均点が、3技能の試験との換算によって約50点なのですね。

斉藤:厳しい結果ですね。

安河内:これが4技能になると、日本人がいちばん苦手なスピーキングが入りますから、点数は落ちて45点とか40点とかになるでしょうね。さらにこれを日本全体の高校3年生で見ると、3技能の平均点は約30点です。スピーキングが入ってくると、もっと下がる。高校3年生の平均は現実にそのくらいなのですよ。

だから、ひとつの案として、東京大学の入試ではTOEFL iBTで80、IELTSでいえば、どうかな、6.5くらいかな。TEAPだと、300点くらいですか。いろんな試験がありますが、一定のラインをクリアしたら、英語の試験はなしと。

斉藤:僕もまったく同意見です。東大入試の英語は廃止してかまわない。

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