中学受験、「危ない学校と良い学校」の見極め方 良い伝統校は学校文化を残しつつ変化していく

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「そんな塾があるとは思いたくありませんが、塾側が実績がほしいために偏差値的に難しい学校ばかり受けることを勧めるかもしれません。保護者がそれにつられて子どもの成績を無視して受けさせたりすると全敗につながってしまいます。その場合、鵜呑みにした保護者の責任なのです。

塾をどれだけ恨んでも、塾はお子さんの人生に対して責任を取ることができません。お子さんが『受験をしてよかったな』と思えるためには、1校は合格証書を確保することが重要ですから慎重に考えていただきたいと思います」

受験戦略を立てるうえでは、過去問との相性を参考にしつつ偏差値を基準にすることを矢野さんは勧める。中学受験生が受ける「四大模試」(「四谷大塚・合不合判定テスト」「日能研・合格判定テスト」「SAPIX・合格力判定サピックスオープン」「首都圏模試センター・合判模試」)は、偏差値が実際の学力より低めに出る一方で、志望校判定はやや甘めに出る傾向があるという。「合格率80%だから受かるはず」と楽観をせず、あくまでも偏差値に基づいて判断をすることが必要だ。

模試の結果は数回受けた平均で判断

「偏差値は模擬試験ごとにアップダウンするので、同じ種類の模試を小6の夏以降に3回〜5回程度受験した『四科平均偏差値』の平均値から割り出した数値を参考にしてください。模擬試験の数値に基づいて志望校を選定する場合、挑戦校は平均偏差値のプラス4以上。実力相応校はプラス・マイナス3。安全校はマイナス4以下を目安にしてほしいと保護者に説明しています」

ただ安全策を講じるだけではなく「子どもがいちばん行きたいと思う学校は受けるべき」と矢野さんは言う。

「やはり子どもの志望度は重要ですから第一志望はよほどのことがない限り変えないほうがいい。合格可能性が薄かったとしても、子どもが憧れて『どうしてもその学校に行きたい』と思って勉強してきたのなら受けて散ったほうがスッキリするでしょう。ただ同時に、保護者は1校は合格を確実に取れるよう計算して動いていただきたいと思います」

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