中学受験、「危ない学校と良い学校」の見極め方 良い伝統校は学校文化を残しつつ変化していく

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また、近年「国際」を冠する新設校が相次いでいる。東京女子学園は2023年度春から校名を「芝国際」とし、蒲田女子高校は2024年度から「羽田国際高等学校」に校名を変える。このような動きを、志望校選びの際にどのように参考にすればいいのだろうか。

「保護者がわが子の将来をどう描くかだと思います。残念ながら日本の国力が衰退する傾向にあり、子どもが日本国内だけでやっていける時代なのかわかりません。海外に出て活躍することが当たり前になるかもしれません。

中高一貫校の先生方に取材すると、進路に海外大学を選ぶ卒業生が増えてきているとおっしゃいます。保護者と子どもが、海外留学や海外大学への進学をどう思うのか。もし希望するのなら、国際関係に力を入れている学校を覗いてみるのもいいと思います。東大を頂点にした日本の偏差値ヒエラルキーがどう変わるのかはまだわかりませんが、多くの外国人が日本で働くようになったら変化があるかもしれません」

「深海魚」の不安をどう考える?

志望校選びについて、よくある親からの質問の1つが「ギリギリの成績で志望校に合格したら、その後学習についていけないのでは?」というもの。学校の勉強についていけず成績が低迷する様子を「深海魚」と呼ぶこともあり、入学後の心配をする保護者は多い。

「桐朋で中学部長を務める村野英治先生にお聞きしたのですが、10年ほど前にデータ分析をしたところ『入試の成績と高校卒業時の成績に相関関係はまったくない』という結果が出たといいます。

入試で補欠合格だった生徒が東京大学の数学科に進み、今は同校の数学教師をしている例もあります。入試の成績は関係なく入学後に学習習慣を身につけられたかどうか、その心構えのほうが重要だと思います」

志望校選びの際、子どもの意向はどの程度考慮するべきなのだろうか。

「小学生の子が確たる根拠を持って『この学校に行きたい』と言うケースはあまり多くないので、難しいところです。まずは保護者がある程度、志望校選びの道筋をつけて『この学校がいいんじゃないかな?』と思える学校をいくつかピックアップし、子どもを連れて行ってあげるといいでしょう。そこでお子さんが何を思うかが大切だと思います。

子どもによって志望理由は違います。例えば私の娘が中学受験生だった時は、同級生のお姉さんに憧れる気持ちから同じ学校を第一志望にしていました。息子はまだ小学生ですが、走り回るのが好きなので『グラウンドの広い学校がいい』というのと、『トイレの綺麗さ』にこだわりを見せています(笑)。子どもによって好みがあるので、親がそれを『そんなのは関係ない』と潰してしまってはいけないと思います。実際に通うのは子どもなのですから」

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