中学受験、「危ない学校と良い学校」の見極め方 良い伝統校は学校文化を残しつつ変化していく

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また、安全校は偏差値だけではなく「行きたいと思える学校を選ぶ」ことが重要だという。

「保護者には、『受験校すべてを行きたいと思えるかどうかは重要ですよ』とお話ししています。親子ともに『この学校で中高生活6年間を過ごすのもいいな』と思えることが大切だと思います」

「いじめがない」と断言する学校は危ない

志望校や、複数合格して入学先を選ぶ際に考慮するべき「危ない学校」の見分け方について、矢野さんは2つのポイントを挙げている。

「学校説明会などで学校サイドが『わが校にはいじめ問題など一切ない』と言っていたら疑ってかかるべきです。いじめに限らず何か問題が起こった時、民間である私立中高一貫校の対応は迅速です。公立と違って教員の異動があまりない環境だからこそ教員間の連携が優れていることが多いと思います。

いじめはどんな学校でも起こりうるのです。それをないと断言する学校は、臭い物に蓋をしているか、いじめがあることにすら気づいていない教員が多いかでしょう」

また、「改革(変革)」を叫ぶ学校にも疑いの目を向けるべきだという。

「どの学校にも教育理念があり、長い年月をかけて卒業生たちが緩やかに醸成してきたものが積み重なって現在の学校文化が存在しています。例えば東洋英和女学院に4世代で通っているご家庭を知っていますが、母校に我が子を通わせたいと思えるのはそれだけ良い学校なのだと思います。伝統校はOB、OGの力が強いので大きな変化を嫌います。それと『時代に即して変わらなければいけない』という意見がいい意味で対立して、学校文化の良さを残しつつ少しずつ変わっていくのが伝統校の良いところだと思います。

しかし声高に改革・変革を謳う学校は教育の『軸』が感じられません。子どもを預けようと思った数年後にはまったく違うことを言っている可能性があります。特に新しく生まれた学校はその点を注意して見る必要があると思います。この観点を持ちながら色々な学校を調べてみるといいと思います」

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