【歯周病】40代で5割も、「きつい口臭」には要注意 歯を失う原因の1位「体質的な問題」も明らかに

✎ 1〜 ✎ 35 ✎ 36 ✎ 37 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
歯の白さや歯並びだけでなく、歯や歯茎の健康にも気をかけたいものです(写真:manoimage/PIXTA)
白さや歯並びなど、“歯の見た目”に対する意識が高まりつつある昨今。同じくらい“歯の健康”への意識が高ければいいのだが、なかなかそうもいかないようだ。ある20代の女性は、長い期間をかけた歯科矯正が終わり、歯並びがきれいになった。しかし、矯正後に歯茎が腫れ、別の歯科医院を受診したところ、重度の歯周病を患っていることがわかった。
サイレントキラーの別名をもつ歯周病の怖さとは――。歯周病に詳しい二階堂歯科医院院長で歯科医師の二階堂雅彦さんに話を聞いた。

2018年の「第2回 永久歯の抜歯原因調査」(8020推進財団)によると、歯を失う原因の1位は歯周病(37.1%)、2位はむし歯(29.2%)で、歯周病がむし歯を上回った。

「歯周病は重度になるまで痛みなどの自覚症状が乏しく、気付くことが難しい病気です。また、全身疾患の引き金になるリスクとしても近年、問題視されています」(二階堂さん)

2022年6月、政府は国民に毎年の歯科健診を受けてもらう「国民皆歯科健診」の導入を目指すことを明らかにした。その背景には、歯周病が動脈硬化や糖尿病、認知症などさまざまな病気に関連していると考えられ、健康な歯が残っている人ほど全身疾患が少ないとのデータが出てきていることがある。歯の健康を保つことでこうした病気を予防し、医療費の削減を見込む。

歯周病とはどのような病気なのか

ところで、歯周病とはどのような病気なのか。おさらいしておこう。

歯周病とは、歯と歯茎(歯肉)のすきま(歯周ポケット)から侵入した細菌によって、歯肉に炎症が起こり、歯を支える骨(歯槽骨)が溶ける病気だ。主な症状は腫れや出血、歯のぐらつきなどで、きつい口臭などを伴うこともある。先延ばしにせず、気になる点があったら歯科医院で診てもらうことが大事だ。

「最近は、コロナ禍のマスク生活で口臭への意識は強くなっていますが、それが“歯周病かもしれない”という危機感にはなかなかつながりづらいのが現状です。しかも、歯周病は体調によって、症状が軽くなることもあるので、来院を先送りしてしまう人も少なくありません」(二階堂さん)

昨今は歯に対する意識が高くなったことで、ホワイトニングや歯科矯正に力をいれる人たちが増えている。一方で、「歯周病に対する問題意識はあまり高くない」と、二階堂さんは憂える。

冒頭で紹介した女性がまさにそうで、矯正後に受診した先が二階堂さんの歯科クリニックだった。こうしたケースだけでなく、歯科矯正を受けようと思って歯科クリニックを受診したら、歯周病が判明したという人もいるそうだ。

歯周病は中高齢者の病気だから自分には関係ない――。そう思っていたとしたら、それはまったくの間違いだ。

次ページ20代でも歯肉に炎症がある
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事