SNSを使う子と使わない子「脳発達」決定的な違い 10代の子を対象にした研究で判明した
その一方でテルザー氏は、こうも付け加える。「SNSを習慣的にチェックしているティーンは脳の応答の仕方に著しい変化が見られるため、大人になってからも続く長期的な影響をもたらし、その後の脳の発達条件を左右する可能性がある」。
研究チームは、ノースカロライナ州の田舎の中学校で6〜7年生(日本の小学6年生と中学1年生に相当)の民族的に多様なバックグラウンドを持つ169人の生徒を調査。フェイスブック、インスタグラム、スナップチャットのフィードをどれくらいの頻度で確認しているかを尋ね、頻度別に生徒を分類した。
SNS使用には12歳くらいでも特徴的なパターンができていた。SNSを習慣的に使用している生徒は、フィードを1日に15回以上確認していると回答。中程度に使用している生徒の1日の確認回数は1〜14回、SNS使用が習慣化していない生徒は1日に1回未満だった。
被験者には約1年おきに脳全体のスキャンを計3回行った。スキャンは、成功すれば仲間が笑顔を見せ、失敗すれば睨んでくる、という形で報酬と罰が与えられるコンピューターゲームをプレイさせている最中に行われた。
SNS利用で活動が高まる3つの脳領域
SNSを頻繁にチェックしている子どもたちでは、ゲームのプレイ中に脳の3つの領域で活動の高まりが見られた。賞金を得たり、リスクの高い行動に出たりといった経験にも応答する報酬処理回路、環境の中で目立つものを見つける特徴抽出に関わる脳領域、調整と制御に関わる前頭前皮質の3つだ。
「SNSを頻繁にチェックしながら育つティーンは(そうでないティーンに比べ)仲間の反応に過敏になる」ことを示す結果だと、テルザー氏は解説する。
この発見は、脳の変化の傾向を示すだけであり、変化のレベルを示すものではない。こうした変化にメリットがあるのかデメリットがあるのかも不明だという。
SNS分野の研究者からは、この発見から過度に一般化した結論を導き出すべきではないとクギを刺す声が上がっている。
「今回の発見が示しているのは、人生のある時点におけるSNS使用が脳発達に影響するということに過ぎず、影響がどれくらいなのか、その影響が良いものなのか悪いものなのかはわかっていない」。スタンフォード大学ソーシャルメディア・ラボの創設ディレクターで、今回の研究には関与していないジェフ・ハンコック氏は、SNS以外のさまざまな要因が脳の変化に影響を与えた可能性もあると指摘する。