「SNS」がどうしてもやめられない2つの理由 「依存症ビジネス」の巧妙すぎる手口
スマホは「スロットマシーン」
2017年4月、アメリカの人気ドキュメンタリー番組「60ミニッツ」で「ブレイン・ハッキング」と題された特集が放送された。特集は、ジャーナリストのアンダーソン・クーパーによるインタビューの模様から始まった。
インタビューの相手は、きちんと手入れされた無精髭に薄茶の髪の細身のエンジニアだ。シリコンバレーの若年層から圧倒的な支持を得ている人物で、名前はトリスタン・ハリス。スタートアップを起業したのち、エンジニアとしてグーグルに勤務していたが、用意された道を自らはずれ、テクノロジー業界という閉じられた世界では極めてまれな生き方を選択した──内部告発者となったのだ。
「こいつはスロットマシンなんです」。インタビュー開始から間もなく、ハリスは自分のスマートフォンを持ち上げてそう言う。
「スロットマシン? どういう意味でしょう」。クーパーが訊き返す。
「携帯をチェックするのは、“さあ、当たりは出るかな”と期待しながらスロットマシンのレバーを引くようなものだからです」。ハリスは答えた。「ユーザーがサービスを使う時間をできるかぎり長くするために(テクノロジー企業が)使うテクニック集が存在するくらいです」
「シリコンバレーは、アプリをプログラミングしているのでしょうか。それとも人をプログラミングしているのでしょうか」。クーパーが尋ねる。
「人を、です」ハリスは答える。「テクノロジーは善でも悪でもないとよく言いますよね。どのように使うかを決めるのは使う側だという意味で。しかし、実際にはそうではなくて──」
「テクノロジーは中立ではないということですか」。クーパーが質問を挟む。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら