「SNS」がどうしてもやめられない2つの理由

「依存症ビジネス」の巧妙すぎる手口

前者は、あるフェイスブックのエンジニアの呼び方を借りるなら「まがいものの幸福感をもたらす高らかな鐘の音」であり、後者は悲しい気持ちにさせるものである。いずれにせよ、結果は予想できない。つまり依存の心理学が示すように、投稿してはチェックするという行為が狂おしいほど魅力的に思えてくる。

だが、ランダムな報酬と強化という特性を持つネット上の行動は、ソーシャルメディアからのフィードバックだけではない。特定の情報を求めてどこかのウェブサイトを訪問したのに──例えば、天気予報を調べたくて新聞社のサイトを開いたのに──ついあちこちのリンクをクリックして記事から記事へと渡り歩いてしまい、気づいたら30分も過ぎていたといった経験を持つ人は少なくないだろう。

これもまた、ランダムな報酬によって引き起こされる行動だ。ほとんどの記事は“はずれ”だが、義憤であれ笑いであれ、何らかの強烈な感情をかき立てる記事に時々“当たる”。面白そうな記事タイトル、面白そうなリンクをクリックするという行為もまた、例えるなら、スロットマシンのレバーを引くのと同じなのだ。

フェイスブック初代CEOの告白

テクノロジー企業はこのランダムな正のフィードバックの罠の威力にむろん気づいていて、それを意識しつつ、訴求力をいっそう強めようと製品を改良し続けている。トリスタン・ハリスはこんなふうに説明する。「アプリやウェブサイトは、予想不能なパターンで報酬を与える仕組みを製品のあちこちにちりばめています。それが金銭的利益を生むからです」。

注意を誘う通知バッジ、面白いかもしれない次の投稿や次の記事をスワイプ1つで表示させられる痛快さ。これらはたいがい強烈な反応を引き出すことを狙って巧妙に作られている。ハリスが指摘するように、フェイスブックの通知のシンボルは、もとはサイト全体の色調に合わせた青だったが、「誰も使わなかった」。そこで警告色である赤に変更したところ、クリック数は急増した。

これに関して内情をもっともわかりやすく暴露した発言はおそらく、2017年秋、フェイスブックの初代CEOショーン・パーカーがあるイベントの席上、フェイスブックがユーザーの注意を引きつけるために使った巧妙な手法について、何気なく漏らした次のような言葉だろう。

「フェイスブックを先駆とするこういったアプリケーションの開発者の思考プロセスは……要するに“どうしたらユーザーの時間や注意関心を最大限に奪えるか”だ。自分の写真や投稿や何やらに“いいね”やコメントがつくと、ユーザーの脳内にわずかながらドーパミンが分泌される。これがいちばん手っ取り早い」

コンテンツを投稿し、ランダムなタイミングで少しずつフィードバックが増えていくのを見守る──その繰り返しがこういったサービスの原動力と思えるが、しかし、トリスタン・ハリスの指摘によると、それはソーシャルメディアが選択できる数多くの方策の中の1つにすぎない。

覚えているだろうか。黎明期のソーシャルメディア・サイトにはフィードバックの要素はほとんど盛りこまれておらず、投稿と情報入手を中心に運営されていた。そして、ソーシャルメディアが生活の中で重要な位置を占める理由として現在でもユーザーが挙げるのは、たいがいがフィードバック制導入前の特徴だ。

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