「SNS」がどうしてもやめられない2つの理由 「依存症ビジネス」の巧妙すぎる手口
「中立ではありません。ユーザーに一定の方法で長時間使わせることを目的としています。企業はそこから利益を得ているわけですから」
トリスタン・ハリスが警告したとおり、新しいテクノロジーへの依存に認められる特徴は、多くの場合、偶然の産物ではない。巧妙にデザインされた機能によって引き起こされたものなのだ。
SNS依存を助長させる2つのこと
新しいテクノロジーはなぜ、行為依存を助長するのに適しているのか。ニューヨーク大学准教授の心理学者アダム・オルターは著書『僕らはそれに抵抗できない』で、私たちの脳を惑わせて不健全な使用を促す狙いでテクノロジー製品に“投入されている成分”を数多く取り上げている。
その中から、テック企業がどのようにして行為依存に拍車をかけているかを調査した私のリサーチでも繰り返し現れた2つについて、ここで簡単に紹介したい。“間歇(かんけつ)強化”と“承認欲求”である。
人の脳はこの2つからの影響を極めて受けやすい。この事実が重要なのは、暇さえあればスマートフォンをチェックしたりブラウザのタブを開いたりさせるアプリやウェブサイトの多くは、この2つの罠を利用してユーザーが誘惑に抵抗できないようにしているからだ。これを理解するために、1つずつ詳しく見ていこう。
まずは最初の1つ──間歇強化だ。マイケル・ゼイラーが有名なハトの実験を行った1970年代から、決まったパターンで報酬を与えられるよりも、予期せぬパターンで与えられたほうが、喜びが大きくなることは科学者の間で知られていた。予想外のタイミングでもらったほうが、快感を司る神経伝達物質ドーパミンの分泌量が多くなるのだ。
ゼイラーの実験では、ハトがボタンをつつくとランダムで餌の粒が出てくるようになっていた。アダム・オルターの指摘によれば、2009年にフェイスブックに“いいね”ボタンが導入されて以来ほとんどのソーシャルメディアに設けられているフィードバック・ボタンは、同じ基本行動を模している。
「“いいね”ボタンがフェイスブック利用時の心理をどれほど変えたか、どんなに強調してもしすぎるということはない」。オルターはそう書いている。「友人の近況を知る受動的な方法として始まったものが、今やどこまでも相互的なものに変わり、しかもゼイラーのハトたちを駆り立てたのとまったく同じ種類の不規則なフィードバックの効果を利用するようになっている」。
オルターはさらに踏みこんで、SNSユーザーは何かを投稿するたびに“ギャンブル”をしているようなものだという──“いいね”(あるいはハートやリツイート)をもらえるか、それとも何のフィードバックもないまま放置されるか。
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