「スタンプラリー化」する就活インターンシップ 「1dayウェブ形式」で回数をこなす若者たち

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私はイノベーション論を専門としており、イノベーションの源泉とも言える、若者のチャレンジ精神や自律性・主体性などについても研究してきた。そして、そういった研究をすればするほど、チャレンジとは真逆にあるような気質、例えば回避動機やゼロリスク性向を強く持つ若者たちの存在が浮き彫りになってきた。

彼らは真面目でいい子だから、ちゃんと朝イチから遅刻もせず授業に来る。

とにかくちゃんとしている。

ただし、決して前方に座ることはない。

授業中に質問することもない。

遅刻することも、質問することも「目立ってしまう」「浮いてしまう」からしない。

同級生ムラの行動規範から外れることほど、彼らにとって恐ろしいことはない。

ゆえに自分も皆と同じようにインターンシップに参加する。

したがってインターンシップは、彼らにとっての義務であり、ルーチンであると同時に、内定を得るためのノルマであり、必須のスタンプラリーのようなものと捉えられる。

大量の学生が「回数を稼げる」不思議

実際、年々、多くの就活生がインターンシップに参加するようになっている。「マイナビ2024年卒大学生インターンシップ・就職活動準備実態調査」によると、2024年3月卒業予定となる大学3年生と大学院1年生約1,800名のうち、2022年10月の時点でインターンシップや1day仕事体験に参加した学生は87.6%と報告されている。

1人当たりの平均参加回数は5.7回で、コロナ禍でやや踊り場を迎えた感があったが、再び参加率も参加回数も上昇に転じている。

これだけ多くの学生が多数回のインターンシップに参加するとなると、受け入れる企業側もさぞ大変だろう。インターンシップは、日本語に訳せば職業体験。そう簡単に大量の学生を相手にできるわけがない。

と、思いきや、そうでもない。

同調査によると、インターンシップに参加したかったのに参加できなかった、という学生はわずか5.7%で、その結果として上記の高い参加率となっている。

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