ホンダの事故回避技術はここまで進化している 2024年実装開始、Honda SENSING次世代版の全貌

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Honda SENSING取材会
Honda SENSINGの次世代技術に迫った(写真:ホンダ)
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人とクルマの協調運転により交通事故を一段と抑制する……。2024年、ホンダがそれを現実に移し始める。核となるのは「Honda SENSING 360次世代技術」だ。

歴史を振り返ると、ホンダでは2014年発売のフラッグシップ大型セダン「レジェンド」に「Honda SENSING」を初めて搭載した。衝突被害軽減ブレーキをはじめとした運転支援技術群の総称である。現在は軽自動車からスポーツモデルである「シビック・タイプR」にまで搭載が進む。装着率も伸び、日本市場と北米市場では99%、世界市場においても86%を数え、累計販売台数は1400万台を超えた。

2021年3月、自動化レベル3技術を含めた新システムとして「Honda SENSING Elite」がレジェンドに搭載され、法人リース車両として100台が販売された。世界で初めて国際的に認められた「自動運転車両」であり、国内では「条件付自動運転車(限定領域)」と呼ばれた。

「Honda SENSING 360」の実装がスタート

これに続いてホンダは2022年12月、Honda SENSINGの進化版である「Honda SENSING 360」の実装を開始した。中国市場で販売される新型「CR-V」が搭載車のトップバッターだ。

Honda SENSING 360はHonda SENSINGのセンサー類(前後8個の超音波ソナー、前方/光学式単眼カメラ、後方/左右のミリ波レーダー計2個 ※車種により内容が異なる)に対し、前方3つ(左右と中央)のミリ波レーダーを追加して合計5つのミリ波レーダー+αで自車周囲360度の外界状況を認識する。

ただ、Honda SENSING 360を名乗りながらも死角は残る。が、その領域は限定的で、車両のピラー(柱)など物理的な死角以外は、ドライバーが目視する(頭を左右に大きく振る)ことで安全確認ができる範囲にまで狭められた。

実は単にセンサーの数を増やしただけではない。Honda SENSING Eliteの自動化レベル3技術で培った制御アルゴリズムをふんだんに採り入れた。

結果、「認知、判断、操作」という従来の3段階から、「認知、予測、判断、操作」へとシステムが行う制御が4段階になった。具体的には、システムが周囲の交通状況から、「次に起こるであろう事象を予測する」ことで、人(ドライバー)が意識的に行っている防衛運転に近づけたのだ。

狙いはわかりやすく、交通事故を抑制するシーン(≒対応できる交通環境)を増やすためだが、冒頭に記した「2024年、人とクルマの協調運転」とはどんな世界なのか。今回は、その実現を目指す具体的な技術を体験した。

次ページ5つの柱で構成される新技術
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