ホンダの事故回避技術はここまで進化している 2024年実装開始、Honda SENSING次世代版の全貌

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そのHonda SENSING Eliteにも次のフェーズとなる「Honda SENSING Elite 次世代技術」が存在する。柱は次の3つだ。

① 一般道路運転支援技術
② 自動駐車支援
③ 高速道路全域運転支援

人とクルマの協調運転で注目すべきは一般道路運転支援技術である。なぜなら、ドライバーによるスイッチ操作(起動)なしに、出発して目的地に着くまでシステムが黒子になって人の運転操作を見守るからだ。

具体的には走行中、ドライバーが踏んでいるアクセルペダルの踏み込み量では数秒後に前走車に近づき過ぎる、そんな予測をシステムが立てると、ドライバーのアクセル操作を「ふんわり弱めて」前走車との距離を保つ。また、車線を逸脱しそうになったらステアリング制御を「そっと介入させて」車線内に引き戻したりする。

まさしくアダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)機能や車線中央維持(LKAS)機能そのものだが、現在、両機能を活用するにはドライバーによるスイッチ操作が必要だし、そもそも現法規では自動車専用道路や高速道路でしか使用が認められていない。それをHonda SENSING Elite 次世代技術では一般道路でもスイッチ操作なしに、いつでも人を見守る技術として実現する。

大切にするのはドライバーの運転操作

その際も、大切にするのはドライバーの運転操作だ。そして、その操作内容にじんわり、時間にゆとりをもたせた状態でシステムが自動的に介入することで、ドライバーに気づきを与えて、まずはドライバーの回避動作を促す。これが考え方の根底だ。自動化技術を事故抑制に役立てるにはさまざまなアプローチがあるという1つの例である。

「ホンダは人の運転操作を尊重しつつ、“事故に遭わない社会”の実現をリードするため、真摯に取り組んでいきます」とは、本田技術研究所 先進技術研究所 安全安心・人研究ドメインでエグゼクティブチーフエンジニアを務める高石秀明氏だ。

ただし、課題もある。先に示した法規だ。内閣府などの動きから、ACCやLKASの一般道路における法規上の作動承認は2026年以降になるだろう。また、高速道路全域運転支援にしても、国連WP29・GRVA分科会における現在の「作動上限速度60km/h以下で車線維持機能」の国際基準が緩和される2030年頃になるのではないか(130km/hで車線変更可能が素案)。

2022年11月、WP29の副議長に猶野喬氏(国土交通省 自動車局車両基準・国際課安全基準室長)が選任されたことから、議論の加速に期待したい。

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西村 直人 交通コメンテーター

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にしむら なおと / Naoto Nishimura

1972年1月東京都生まれ。WRカーやF1、さらには2輪界のF1と言われるMotoGPマシンでのサーキット走行をこなしつつ、4&2輪の草レースにも精力的に参戦中。また、大型トラックやバス、トレーラーの公道試乗も積極的に行うほか、ハイブリッド路線バスやハイブリッド電車など、物流や環境に関する取材を多数担当。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)理事。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。(財)全日本交通安全協会 東京二輪車安全運転推進委員会 指導員。(協)日本イラストレーション協会(JILLA)監事。★Facebook「交通コメンテーター西村直人の日々

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