PTAは任意加入の団体ですが、多くの場合、強制加入になっているのが実態です。そしてこの話はPTAの現場(特に古い体質の)においては、タブーのように扱われているところがあります。
筆者はこれまでさまざまなPTA経験者に取材をしてきましたが、それまでずっとニコニコとお話していた方が、私が「任意かにゅ…」という言葉を口にした途端、急におっかない表情に変わる、という経験を何度かしました。そのため、この話は軽々しく口にしないよう気をつけてきたのですが。
でも、PTAが任意加入団体なのはもちろん筆者の所業ではなく、もともとそうなのです。
団体が強制加入の権限をもつためには法的な根拠が必要ですが、PTAにはそれがありません。ですから、PTAが任意加入団体である事実は否定しようがないのです。(詳しく知りたい方は、拙著『PTAをけっこうラクにたのしくする本』に掲載された、憲法学者・木村草太さんの解説をご参照ください)
“強制加入”が引き起こすさまざまな問題
現状を考えると口にしづらくなりますが、でもやはりこれからは、PTAが任意加入団体であることを、もっと共通認識にしていく必要があると思います。いまPTAで起きているさまざまな問題を掘り下げていくと、どうしても、強制加入の問題にぶつかってしまうからです。
以下に、「これは強制加入じゃなければ起こり得ないのでは」と筆者が感じた3つの主な問題を紹介します。
日本のPTAでは昔から、学校への寄付(PTA予算から学校の備品や設備にお金を出すこと)が一般的に行われてきました。ですが、この寄付については賛否両論があり、地域やPTAによって、寄付を行うところと行わないところがあります(PTAが学校に寄付を行うことそのものの是非については長くなるためここでは割愛します)。
そのため、寄付を行っているPTAでも反対の声が上がるのを恐れ、何にいくら使っているのかはっきり明かさない場合があります。また、寄付に反対する人たちが納めたPTA会費も、その人たちの意に反して寄付に使われてしまいます。
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