会場は静まりかえる。みんなどうしていいかわからない。誰も助けに行けない。突然どこからともなくチークスが現れて、狼狽したギルバートに近づく。そして、一緒に国歌を歌い始めた。
ギルバートは落ち着きを取り戻し、また歌い出した。チークスはギルバートの肩をたたいて励ましながら、傍らでずっと一緒に歌った。
観衆も大声で歌い出す。カメラは相手チームのヘッドコーチをとらえる。彼も歌っていた。審判も歌っている。アリーナ中のすべての人が、ギルバートが歌えるように励ましている。見事に歌い終えると、チークスはギルバートを抱きしめ、すぐに選手とスタッフの元に戻った。
成功にいたる道に必ずある「迂回」
チークスはお世辞にも歌はうまくなかった。音程はメチャクチャだった。でも、チークスは歌がうまいかどうか、気にする人がいただろうか?
チークスはギルバートに向かって歩きながら、間違いなく不安につつまれていた。だが勇気を持って歌いだし、自分をさらけ出した。そして、自分の弱さを乗り越えた。
状況が違っても、誰もがモーリス・チークスと同じことができる。勇気を出して「恰好悪くてもいいから望ましいこと」をすることで、「望ましいことを見事にこなす」境地への道を歩めるのだ。
前掲した図を見ればわかるように、成功にいたる道はまっすぐではない。予期しない方向に迂回しなければならない。だが、それによってさらに大きな仕事ができるし、自分をさらに高められるはずだ。
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