失敗恐れる人が「踏み出す」時に起こる驚くべき事 「格好悪くてもいいから」何かしなければいけない

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

会場は静まりかえる。みんなどうしていいかわからない。誰も助けに行けない。突然どこからともなくチークスが現れて、狼狽したギルバートに近づく。そして、一緒に国歌を歌い始めた。

ギルバートは落ち着きを取り戻し、また歌い出した。チークスはギルバートの肩をたたいて励ましながら、傍らでずっと一緒に歌った。

観衆も大声で歌い出す。カメラは相手チームのヘッドコーチをとらえる。彼も歌っていた。審判も歌っている。アリーナ中のすべての人が、ギルバートが歌えるように励ましている。見事に歌い終えると、チークスはギルバートを抱きしめ、すぐに選手とスタッフの元に戻った。

成功にいたる道に必ずある「迂回」

チークスはお世辞にも歌はうまくなかった。音程はメチャクチャだった。でも、チークスは歌がうまいかどうか、気にする人がいただろうか?

命綱なしで飛べ
『命綱なしで飛べ』(サンマーク出版).。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

チークスはギルバートに向かって歩きながら、間違いなく不安につつまれていた。だが勇気を持って歌いだし、自分をさらけ出した。そして、自分の弱さを乗り越えた。

状況が違っても、誰もがモーリス・チークスと同じことができる。勇気を出して「恰好悪くてもいいから望ましいこと」をすることで、「望ましいことを見事にこなす」境地への道を歩めるのだ。

前掲した図を見ればわかるように、成功にいたる道はまっすぐではない。予期しない方向に迂回しなければならない。だが、それによってさらに大きな仕事ができるし、自分をさらに高められるはずだ。

トマス・J・デロング ハーバード・ビジネススクール ベイカー基金教授、フィリップ・J・ストンバーグ記念講座元教授

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

Thomas J. DeLong

専門は個人および組織の成功要因。ハーバード・ビジネススクールでは、MBAおよびエグゼクティブ向けコースを担当。人的資本の管理、組織行動、リーダーシップ、キャリア管理を講じる。ハーバード・ビジネススクールの必修コース「リーダーシップおよび組織行動」のコース長を務め、成功を収めている企業における人的資本の管理、専門サービス企業における戦略的課題に重点を置いたMBAコース開発にも携わった。ハーバードで教鞭を執る前は、モルガン・スタンレーでマネジング・ディレクター(専務取締役)および最高開発責任者を務めた。ブリガム・ヤング大学で学士号および修士号を取得、パデュー大学で博士号を取得。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事