なぜ日本人の「色彩感覚」は世界で賞賛されるのか 「春の色」ひとつとってもこんなに多彩

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日本人は昔から四季折々の植物を通して「色」を感じていたため、伝統色名として今に伝わる色の呼び名は、圧倒的に植物由来のものとなっている。中でもおもしろいのが、植物の成長に合わせて相応の色名が存在するケースだ。

たとえば竹の場合、土から生え出たばかりの竹を表す「若竹色(わかたけいろ)」→青々と成長した竹を表す「青竹色(あおたけいろ)」→歳月を経た古い竹を表す「老竹色(おいたけいろ)」の色名が、ごく当たり前のように存在する。

それぞれの国の「伝統色名」には、その国の文化的な特徴が如実に現れるが、フランスの伝統色名にはボルドー(赤ワイン色)、ミエル(ハチミツ色)、カフェ・オー・レー(カフェオレ色)のように飲食物に由来するものが多く見られ、中国の伝統色名には鉱物に由来するものが多い。(参考資料:DIC COLOR GUIDE『フランスの伝統色』『中国の伝統色』)

華やかな色を多く使用した子どもの着物

(出所:『配色アイデア手帖 日本の美しい色と言葉』)
このページで紹介している9つの色名のうち7つが植物由来のもの。「珊瑚色(さんごいろ)」と「乳白色(にゅうはくしょく)」が例外で、乳白色は近代になってから使われるようになった新しい色名の1つ(出所:『配色アイデア手帖 日本の美しい色と言葉』)
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