冬の味覚「カニ」ロシア産急増でも価格高騰の理由 国産「松葉がに」の水揚げは微増にとどまる

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さらに今年は、そこにアメリカの禁漁が加わった。アラスカ沖のベーリング海ではズワイガニの個体数が2018年の約80億匹から2021年には約10億匹へと激減したという。このためアラスカ州当局などは2022年から2023年のシーズンのズワイガニ漁を禁漁としたのである。

また、ブリストル湾でのタラバガニ漁も昨年に続き、今年も禁漁となっている。そのためカニ全体の供給量が減った。これが相場に与えている2つ目の影響だ。

そこへもってきて、昨年以降の原油高による輸送コストアップ、そして円安が加わり、結果として日本国内のカニ価格高騰につながったとみられている。

「松葉がに」の水揚げは微増だが……

国内産のカニの状況はどうなっているのか。ズワイガニの本場・山陰では11月6日にズワイガニ漁が解禁となった。中でもオスは味覚の王者と言われる「松葉がに」で、漁期は11月から翌年3月となっている。

11月末までの松葉がにの水揚げ量は約112トンで、昨シーズンより4%増。単価はキロ当たり7181円で、18%下がった。とはいえ、まだ高値であることに変わりない。

鳥取県では昨年11月の水揚げが前年の4割減となり、カニの価格が2倍近くにはね上がった。そのため、昨年よりは安いものの、数年前に比べるとかなり高くなっている。12月に入ってからは需要が高まってきたこともあり、急に値が上がりつつあるという。

松葉がにを例にみると、2018年度には200トン近い水揚げがあり、キロ当たり2800円ほどだったのが、21年度は109トンまで落ち込み、価格はキロ当たり8700円まで高騰した。今年11月の7181円は、それよりは下がっているものの、4年前と比べると3倍近い。

都内における取引状況は「松葉はキロ3万円も珍しくない。店頭では5万、6万円してもおかしくない」(卸売関係者)という。日本海でのカニの資源状況が急速に悪化していることが背景にあるとみられている。

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