冬の味覚「カニ」ロシア産急増でも価格高騰の理由 国産「松葉がに」の水揚げは微増にとどまる

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カニの価格上昇にはさまざまな背景がある(写真:shige hattori/PIXTA)

カニの需要が一気に高まる年末年始が近づいてきた。実は国内に流通しているカニの多くは輸入ものだ。その輸入状況に足元で異変が起きている。ウクライナ侵攻で経済制裁中のロシアからの輸入量が急激に増えているのだ。一体、何が起きているのか。

カニの輸入単価はコロナ前の1.4倍に

最新の今年10月までの輸入状況を見てみよう。輸入量は約1万8000トンで、輸入額は約616億円。前年同期で比べると量は8.6%、金額は27.7%増となっている。最大の輸入元はロシアで、輸入量は約1万1600トン。前年同期より約3800トン増えている。輸入金額は約410億円で同1.5倍。2位カナダの3倍以上だ。キロ当たりの単価は3528円で、コロナ前(2019年)の1.4倍に跳ね上がっている。

ちなみにカニの中でもっとも高いのは資源が乏しいタラバガニだ。今年の輸入量は1419トンで約110億円。キロ単価は7785円にもなる。ロシア側から見ると、ロシア水産業における昨2021年のカニの供給量は、輸出全体の5%しかなかったが、すでに高価格の恩恵により売り上げでは4割を超え、主力製品となっていた。

日本への輸入量増加は、今年6月、アメリカがロシアからの水産物の禁輸に踏み切った影響が大きい。その結果、アメリカ市場に出回るズワイガニは、ロシア産からカナダ産に置き換わった。2021年のロシア産のカニ輸出量は約7万5000トンで、そのうち約3万2000トン、全体の4割超がアメリカ向けだった。このため、今年の夏以降はアメリカ向けだったロシア産のカニが日本や中国などに流れているとみられている。

実際、貿易統計を見ると、ロシアから日本への1-10月のズワイガニの輸入量は前年同期よりも3600トン以上増えている。カニの流通市場が激変しているということだ。

ロシアからの輸入が増えているのであれば、価格も安定するように思えるが、前述のように前年比で上昇している。水産関係者の間で指摘されている要因がいくつかあるが、1つ目は水産物全般に共通している現象だ。

「健康志向の高まりで世界各国で水産物全般の需要が増加するなか、カニに関しては近年、アメリカや中国での需要がどんどん高まっています。中国の場合は、富裕層などの食需要に加え、輸入品を加工して輸出する動きもあるようです」(水産会社関係者)

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