日本人が「外資系オフィス」に馴染みにくい理由 「オフィス」と「価値観」のギャップを埋める方法

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家族もいますし、特に子供がいると仕事になりません。また、1人暮らしの狭い部屋では働きづらいという悩みもあります。

弊社は、そういった人たちに配慮して、シェアオフィスを都内でいくつか契約していますが、現状、テレワークをしている人の2割ほどが利用するにとどまっています。

しかし、今後、いよいよ本当のテレワークが始まれば、シェアオフィスの利用も普通のことになり、働きたい場所で働けることで気持ちはラクになり、心身ともにメリットが出てくるでしょう。

「オフィス」と「シェアオフィス」の市場競争

池田:今、「オフィスvsシェアオフィス」という観点も出てきています。シェアオフィスは、お茶やお菓子があり、インテリアも良くて、コンシェルジュがいたりもして快適なんですね。それで、オフィスに来なくなるわけです(苦笑)。

そこで経営者が、シェアオフィスに負けないオフィスにして、社員が「自分はもてなされている」と感じるようにしようと考え、より上質な空間になるという流れがあります。

川口:ホスピタリティ、企業らしさ、そして、コミュニティ。それが、オフィスデザインのキーワードですね。自社オフィスを、シェアオフィスと同じぐらい居心地のいい場所にすれば、そこにしかないコミュニティができて、人が集まる。これは大きな差になります。

一方、シェアオフィスには、そこにしかない社外のコミュニティがあるかもしれません。そして、自宅周辺の地域コミュニティの存在もあります。それぞれにちょっとずつ属しながら働くというのは、副業やサバティカルにつながる話ですし、人材の多様性にもつながりますね。

キャリアも考え方も多様になれば、イノベーションにつながります。そういう大きなストーリーの中で、いま「働く」ということが考えられており、決して、1社の取り組みだけでできる話ではないことは明らかだと思います。

まだまだ変革期です。フレキシブルに変わっていける組織や、ルール作りが今後の主題になるでしょう。

(構成 泉美木蘭)

川口 健太 オカムラ働き方コンサルティングセンター所長

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かわぐち けんた / Kenta Kawaguchi

オフィス空間デザイナーとしてキャリアを積み、2014年よりオカムラ・タイのデザインマネジャーを経験。タイ人デザイナーを率いてバンコクの日系顧客中心に現地法人ならではのオフィス構築支援に携わる。2021年日本に帰国後はアジア各国のデザイン業務にかかわる傍ら、国と地域にとらわれない総合的な働き方に関する知見を集める。2022年より現職、より良い働き方の浸透に努める。

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池田 晃一 オカムラワークデザイン研究所チーフリサーチャー

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いけだ こういち / Koichi Ikeda

株式会社岡村製作所(現オカムラ)入社後、20年にわたって働き方の研究を続けている。専門はグループワーク分析、場所論。2012年からテレワークを含む「柔軟な働き方」の研究を主に担当。入社後、2007年から2010年まで東北大学大学院で学んだ経験を持つ(工学研究科博士後期課程修了)。また、2014年から1年間、サバティカル休暇を取得して東北大学大学院医学系研究科助教(広報・コミュニケーション担当)を務める。著書に『エシカルワークスタイル』『はたらく場所が人をつなぐ』がある。

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