「鎌倉殿の13人」政子と義村"ラスボス"はどちらか 小池栄子の「目ヂカラ」vs山本耕史の「肉体美」
さて、もうひとりのキーマン・義村である。義村は義時と違って、人を欺くことや殺めることに苦悩も罪悪感もなさそうに常に淡々とした、昆虫のようなムードを持っている。だからこそ最後まで気を許せない。
史実だと義時は承久の乱のあと、わりと早い時期に亡くなるのだが、その原因は現存する資料によると、病死説あり、妻・のえ(菊地凛子)の毒殺説ありとさまざま。坪内逍遥の戯曲『義時の最期』では、義時の臣下の息子がキーマンになっている(この登場人物は『鎌倉殿~』には存在していない)。となると、『鎌倉殿〜』ではどうなるのか。
三谷作品で毎回「脱いでいる」山本耕史
これまでも『吾妻鏡』をベースにして、そこには書かれていない隙間をみごとに説得力のあるエピソードで埋めてきた『鎌倉殿〜』では、主人公・義時のラストはどうなるのかと考えたとき、どうしたって義村が浮かんでしまうのだ。なんらかの形で義時のラストに絡んでくるに違いない。
演じている山本耕史は、子役からの長い芸歴を持つ演技巧者である。2022年は映画『シン・ウルトラマン』の外星人・メフィラス役が大人気に。その役を意識したようなCMに、同作の主演・斎藤工と共に出演するほどである。ピュアな役からクセの強い役まで幅広く、明確な芝居をすることで信頼の厚い俳優である山本は、演技のみならず身体を鍛えていることでも有名だ。
三谷作品では大河ドラマ『新選組!』『真田丸』、舞台『大地』と、毎回その鍛えられた肉体を披露する、要するに衣装を脱ぐシーンが用意されていて、『鎌倉殿〜』でも複数回、脱いでいた。そういうネタのようなことをしなくても演技だけで十分、存在感があるにもかかわらず、何か一手加えて話題をさらう。だからこそ『鎌倉殿〜』でも最後に笑うのは義村ではないか。
興味深いのは、山本耕史は小池栄子と同じような発言をしていたことだ。
「作品のためなら使えるものはなんでも使うのが僕の主義」(マガジンハウス『クロワッサン』No.1078より)
これは、大河ドラマで3回連続脱いでいることについての発言である。山本耕史も小池栄子も、作品のために真摯に身を捧げている。だからこそ、私たちは彼らに心をつかまれるのだ。
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