一点の言い訳もない「負け」を自覚する
竹石尚人の姿は、多くの箱根駅伝ファンの記憶に残っていると思います。名前は知らずとも、3年生の箱根山登りの5区でブレーキ。リベンジをかけて「5年生」として出場した箱根で再びブレーキとなった選手といえば、思い出すかもしれません。
竹石は山登りに適性があり、2年生のときに箱根の5区で初出場、区間5位の成績を残しました。3年生のときも練習から調子がよく、自信を持って送り出しました。しかし、結果は区間13位、後続に抜かれ往路6位の結果となりました。結局、復路優勝はしたものの、その年は総合2位。竹石はメディアなどで5連覇を逃したことの「戦犯」扱いをされ、大きな挫折体験となっただろうと思います。
顔を上げることができないほど落ち込む大きな失敗をしたときに、どうすればいいか。それは負けを負けと認め、次の目標に向けて早くスタートを切ることです。なぐさめを求めたり、現実から目を背け、苦しみから逃げてはいけません。
私は、レースの2日後、落ち込んでいるであろう竹石を連れ出し、同じ箱根のコースを走らせました。本人はそんなことできる気分じゃないことはわかっています。それでも、「負けを負けだと認めさせることが大切だ」と思ったのです。
本番とほぼ同じ時期に、再び同じコースを走れば、自分の実力がどの程度だったのかを確かめることができます。
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