強制入院4回に「強い疑問」、統合失調症の男性訴え 「精神医療問題」身体拘束の数は約10年間で2倍

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とくに、精神障害のある人の医療に関する「精神保健福祉法の改正案」で、天畠議員は精神医療の実態に詳しい杏林大学保健学部の長谷川利夫教授(58)とともに2つの重大な問題点を指摘した。強制入院の1つ「医療保護入院の手続き」と「身体拘束の要件」の見直しだ。

強制入院事例が増えることを懸念

強制入院とは、精神保健指定医の診断のもと、本人の同意を問わない入院形態のこと。自殺や他の人への危害のおそれがある場合に都道府県知事の指示で行われる「措置入院」と、家族や市町村長の同意で手続きできる「医療保護入院」に大別される。改正案では、医療保護入院で市町村長の同意によって判断できる範囲が広がる。このため、有識者は医療保護入院事例が増えることを懸念している。

身体拘束とは、精神保健指定医が認めた場合、医療スタッフが入院患者の手足や胴体にベルトを付けるなどして行動を制限すること。厚生労働大臣告示において、自殺のおそれや自傷行為があり著しく切迫している、多動・不穏が顕著にある、生命の危機があるなどに限定して実施できると決まっている。

一時的でやむを得ない処置とされているが、実態はそうではないようだ。天畠議員は質疑で「2003年以降、10年間で身体拘束を受けた患者数は約2倍増になった」と指摘した。

杏林大学保健学部の長谷川利夫教授
国会質疑で解説する杏林大学保健学部の長谷川利夫教授(写真:天畠大輔事務所提供)
身体拘束と保護室での隔離された人数の経年変化
身体拘束と保護室での隔離された人数の経年変化
2003年から10年で2倍に増えた(精神保健福祉資料を基に作成:長谷川利夫教授提供)
※2016年までは身体拘束の件数、2017年からは医師の指示数
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