障害者教育、国連が日本に突きつけた厳しい課題 「特別支援教育の廃止」など6項目について勧告

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国連の建物の前で
国連の建物の前で。Tシャツには「STOP分離教育」の文字(写真:五十嵐玉枝さん提供)
インクルーシブ(inclusive)とは、「全部ひっくるめる」という意。性別や年齢、障害の有無などが異なる、さまざまな人がありのままで参画できる新たな街づくりや、商品・サービスの開発が注目されています。
そんな「インクルーシブな社会」とはどんな社会でしょうか。医療ジャーナリストで介護福祉士の福原麻希さんが、さまざまな取り組みを行っている人や組織、企業を取材し、その糸口を探っていきます【連載第8回】。

今夏、スイス・ジュネーブにある国際連合(以下、国連)欧州本部で、「障害者権利条約」に関する日本政府への初めての審査が開かれた。障害者権利条約とは、障害者の尊厳と権利を保障するための国際的な合意で、障害のある人とない人が平等で対等に社会参加できるよう、その方向性が明文化されている。

私たち抜きに、私たちのことを決めないで

日本は、2014年に同条約を締結した。 締約国は条約内容が国内でどのように反映されているか、その進捗状況を国連の障害者権利委員会(以下、障害者権利委員会 )に定期的に報告する仕組みがあり、日本は今回が初めてだった。

国連は同条約の審査を「建設的対話」と呼んでいる。それは、審査にありがちな批判的評価が目的ではなく、日本の障害者施策の課題について障害者権利委員会と政府が報告書や対面で“対話”を繰り返すことで、政府から状況改善に関する前向きな回答を引き出そうとするからだ。

この建設的対話には、障害者権利委員会の委員が障害当事者団体や関連するNGO(非政府組織)の声をよく聞いて、質疑や審査結果(以下、総括所見)に大きく反映させていくという特徴がある。この条約が障害当事者による「Nothing About us without us(私たち抜きに、私たちのことを決めないで)」が合言葉に策定され、国連で採択された経緯があるからだ。

今回も、日本政府の報告書が公表された直後から、各種障害の13団体が集まる「日本障害フォーラム(JDF:Japan Disability Forum)」などが、政府と意見交換しながら、 政府報告書に対する意見書(以下、「パラレルリポート」)を障害者権利委員会へ提出した。

*政府報告書、および質疑応答:外務省のホームページ「第1回政府報告」
*非政府組織のパラレルリポート:「障害者権利条約関連資料」

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