強制入院4回に「強い疑問」、統合失調症の男性訴え 「精神医療問題」身体拘束の数は約10年間で2倍

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堀合さんはこう言う。「精神疾患の患者にとって入院が有効な場合もありますが、適量の薬をきちんと飲んでいれば自宅でも療養できます」。さらに「精神保健福祉法によって入院も服薬も強制的で、患者の意思はまったく聞いてもらえません。この点が病院内外で差別や偏見につながります。病院内でひどい対応を受けている患者もいます」とも訴える。

強制入院の要件は厳しくすべき

千葉県で精神疾患の訪問診療を実践している精神科医で、メンタルヘルス診療所しっぽふぁーれの伊藤順一郎院長(68)も、強制入院について「(現国会で審議中の)医療保護入院は指定医とはいえ、入院先の医師1人が人間の行動を制限するという強大な権限を持つこの仕組みは、たやすく人権侵害をもたらします。第三者の公権力が入るなど、入院の要件は厳しくすべきです」と強調する。

伊藤順一郎院長
伊藤順一郎院長(写真:本人提供)

堀合さんの入院に対する疑問にも、「3回目は自宅療養、4回目は任意入院(当事者の自発的入院)でいい」と同意する。堀合さんのように薬物治療がうまくいかず、突然、症状が現れても、「ていねいな外来診察や訪問診療をしながらタイミングよくケアすれば、強制入院と判断されるほど悪化しにくい」と伊藤医師は言う。

日本の精神医療は世界一の病床数ということもあり入院中心で、しかも、世界各国のなかで特異的に入院日数が長い。フランスの平均在院日数は5日、イタリアは13.9日だが、日本は274.7日で、厚生労働省も「非常に長い」と認めている(*3)。50年間以上入院している人が全国に約2000人いることも明らかになっており(*4)、国連の勧告では“無期限の入院” と揶揄された。

アメリカでは1970年から、重度の精神障害がある患者でも自宅で支援を受けながら治療を続けられる、訪問支援(アウトリーチ)に取り組まれている。その1つ「ACT: Assertive Community Treatment(包括型地域生活支援プログラム)」は、1人の患者を医師、看護師、精神保健福祉士、作業療法士らが多職種でチームを組んで支援する。訪問診療のほか、服薬支援や生活支援、就労支援に関しても専門職が一緒に買い物へ行ったり、交通機関を使う練習をしたり、ハローワークへ同行したりすることで、患者は地域で暮らすことができている。一人暮らしの人もいる。

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