英語月3万円も、保育園「別徴収の習い事」の深い闇 国の「上乗せ・実費徴収ルール」はかなり曖昧

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保育園やこども園の保護者から、保育料とは別に高額な徴収があって困っているという相談が筆者の元へ寄せられているようです(撮影:今井康一)

保育園・こども園の保護者から、保育料とは別に徴収される費用について疑問の声が上がっています。

別料金なしで工夫をこらした保育を行う園がある一方で、外部事業者任せの習い事に高額な別料金をとる園もあります。別料金を払ったからといって質の高い保育が受けられるわけではありません。指導する立場の自治体にも混乱があるようです。

街中の幼児教室を超える月謝

「英語の月謝が3万円。街中の習い事よりも高い。悪質なぼったくりだ!」

「月1、2回のスイミングスクール代1回1300円、知育絵本1200円、音感教育代1000円は毎月徴収、そのほか行事の衣装代などさまざまな名目で負担がかさんでいる」

保育園やこども園の保護者から、保育料とは別に高額な徴収があって困っているという苦情が保育園を考える親の会(以下、親の会)に届いています。

親の会が昨年とった会員アンケートでは、保育料とは別に月謝を徴収する「習い事」を行っている園は少数派でしたが、回答者の1割強が「ある」と回答しました。最近の苦情からは、外部の事業者が提供する教室や教材を利用させて、その利用料に園の取り分を上乗せして保護者に負担させている園もあることがわかりました。

幼児教育無償化が実施されて以降、無償化で生まれた家計のゆとりが狙われているように見えます。

そもそも認可保育園などの運営は、国や自治体が支出する公費によって支えられています。子どもの年齢などに応じて「公定価格(単価)」が決められていて、園ごとに必要な経費が計算され各施設に運営費が給付されます。

3歳未満児については、保護者も保育料を負担していますが、それは一部です。ざっくり言えば、保育(養護と教育)の費用の大部分は、子どもの健やかな育ちを支えるという理念のもと、社会全体で負担しているのです。

そのため、以前は認可保育園などが標準の保育時間内に有償で習い事などを行うことは適切ではないと解釈されていました。

保護者の苦情を受けて親の会が厚生労働省保育課に問い合わせたときも、妥当な範囲での実費徴収は認められるが、保育時間中の保育にかかる経費は公費で支給されているので、園が保育についての高額な別途料金を徴収することは認められないという回答でした。

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