太宰治が描いた「源実朝」「北条義時」その人物像 大河ドラマで描かれる義時の性格との共通点も

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太宰治はどう実朝と義時を描いたのでしょうか。写真は太宰の銅像(写真: 髙橋義雄 /PIXTA)

作家・太宰治(1909〜1948)。『走れメロス』や『人間失格』などの作品で有名な作家ですが、度重なる自殺未遂や、薬物中毒であったこともよく知られています。最後には、玉川上水で女性と入水、38歳でその生涯を閉じます。

無頼派作家と称されることもある太宰には、鎌倉幕府3代将軍・源実朝を主人公にした小説、『右大臣実朝』があります。太平洋戦争中の1943年に書籍として刊行されました。その中には、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(2022年)で話題となっている北条義時も登場してきます。太宰は、実朝や義時をどのように作品の中で描いたのでしょうか。

物語の冒頭は『吾妻鏡』(鎌倉時代後期に編纂された歴史書)の引用から始まります。同書の承元2年(1208)2月条。それは、実朝が疱瘡(天然痘)にかかり苦しむも、同月下旬には「平癒」したことを記している箇所でした。1192年生まれの実朝は当時、16歳でした。『吾妻鏡』の引用が終わり、いよいよ物語はスタートしていきます。

1人の人物の語りで構成されている

『右大臣実朝』は、1人の人物の語りによって構成されています。その人物は冒頭「おたづねの鎌倉右大臣さまに就いて、それでは私の見たところ聞いたところ、つとめて虚飾を避けてありのまま、あなたにお知らせ申し上げます。間違ひのないやう、出来るだけ気をつけてお話申し上げるつもりではございますが、それでも万一、年代の記憶ちがひ或いはお人のお名前など失念いたして居るやうな事があるかも知れませぬが、それは私の人並はづれて頭の悪いところと軽くお笑ひになつて、どうか、お見のがし下さいまし」と前口上を述べるのでした。

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