「安売り競争」が日本の観光地をダメにする根因だ スキー場に「価格2倍のVIP券」を導入した深い訳
「割引」「クーポン」という名の麻薬
私は長野県白馬村のスキー場の運営に携わっています。小さな会社ですのでお問い合わせの電話を自ら受けることもよくあります。その中で、個人的にとても違和感を覚える問い合わせがあります。
それが、「割引券はどこで手に入りますか」というものです。スキー場の窓口で「割引クーポンってないんですか」と聞かれるケースもあります。
来ることが決まっている方や実際に窓口まで来てくれている方に割引を紹介するとすれば、「正価(定価)」の意味がなくなってしまいます。
スキー業界では、シーズン前から「早割チケット」が随所で販売される慣行がすっかり定着してしまっています。少しでも早い段階でお客さんの数を確保し、キャッシュフローを楽にしたいという施策です。
10~11月に販売されるこれらのチケットは、通常価格から2~4割引されます。でも、これが実際にお客さんの数を増やしているのかというと疑問符が付きます。「もともと来るはずだったお客さんに、わざわざ(手間をかけて)安くなるチケットをお渡しているだけなのではないか」、そう思ってしまいます。
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