「安売り競争」が日本の観光地をダメにする根因だ スキー場に「価格2倍のVIP券」を導入した深い訳
これらは「カンフル剤」として、コロナ禍の影響で危機に陥った業界を救うという意義はあります。
しかし、これを常態化させてしまうと、お客さんが感じる価格目線が大きく引き下がってしまいます。これではリスクにしかなりません。こうしたキャンペーンを行わなくなった後の状態を考えると、スキー場業界にとっては、手放しで喜べる施策ではないのです。
少なくとも、こうした「カンフル剤」が効いている間に、各スキー場が次につながる投資をしっかりと行わなければなりません。そうすることで、お客さんに以前よりも高い価値を提供できるようになる。結局、その努力なしには、スキー場の復活など夢のまた夢です。
「安売り競争からの脱却」は日本全体の課題だ
「安売り競争」からいかに決別するか。これはおそらく、スキー場だけの課題ではないはずです。
バブル崩壊以降、国内市場はつねにデフレ基調にありました。そんな中で、宿泊や飲食、物販など観光産業全般が(ともするとそれ以外の一般的な産業も全般的に)、価値を上げて価格を上げるという当たり前のことができなくなってしまいました。
メディアの取り上げ方も「安いが正義」が基調にあります。ともすると値上げ自体がニュースとなり、「それだと困る」というインタビューのみをクローズアップして放送するような状態です。
バブル以降の投資抑制の結果、さまざまな資産が老朽化しています。そんな中、供給サイドのみならず、需要サイドやメディアなども発想の転換を求められていると思うのは、私だけではないはずです。
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