やはり「サッカー型組織」が会社も強い!2大理由 「勝てるチームに共通する」重要ポイントは同じ

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日本代表選手は、この「オーナーシップ」が低かったため、対コートジボワール戦での予想外の事態に対して、十分な行動変容ができなかった。他方、ドイツ代表は選手の「オーナーシップ」が高かったので、強豪ブラジルを破り、優勝の栄冠を手にすることができた。

村井さんは、この決定的な違いに衝撃を受けたといいます。

企業の組織モデルも「野球型」から「サッカー型」への転換が求められています

(出所:高橋俊介著『キャリアをつくる独学力』より)

野球ではチャンスのとき、次の球を見送るか、バントをするか、ヒットエンドランを仕掛けるか、基本的には1球1球、「監督の指示」を仰ぎます

監督が試合の途中でタイムをとって、指示することもできます。また、「ジョブ型」のように、それぞれのポジションごとに「役割が明確に定義」されています

これに対し、サッカーでは、ディフェンダーとしてのジョブを担っていても、状況次第では攻め上がって攻撃に参加することも、瞬時に自分の判断で行わなければなりません。自分の基本的な役割を越えて、その場その場で、自分で考え行動し、チームに貢献する

現代のような「変化の激しい時代」には、企業にも社員1人ひとりが自律的に動いていく「サッカー型組織」が必要です。

個人個人の仕事と責任を分解し、事前に定義する「野球型組織」では、とうてい対応できないのです。

「自分で考え、行動する」ための2大ポイント

今回紹介したエピソードからわかるように、「勝てる」サッカーチームのポイントは次の2つです。

【1】選手の「オーナーシップ」を重視する
【2】「練習の主体性」(自発的に行うメニュー)を評価する

これを「会社組織」に置き換えると、以下のようになります。

【1】社員1人ひとりが、つねに「当事者意識」を持って、「主体的に」仕事をしている
【2】社員1人ひとりが、「上から指示されて」ではなく、「独学」で個々人のスキルや能力を高める

「オーナーシップ」評価の中で「練習の主体性」が重視されたように、「学びの主体性」としての独学がとくに重要です。

これからは、「新しい時代に生き残るためのキャリア」として、指示を待つ「野球型」ではなくその場その場で、自分で考え行動できる「サッカー型」が求められます。そのためにも、なにより「独学力」によって、「個々人のスキルや能力を磨く必要性」がどんどん増しているのです。

そうでなければ生き残れない時代が、もうそこまで来ているのです。

高橋 俊介 慶應義塾大学 SFC研究所上席所員、キャリア論の第一人者

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たかはし しゅんすけ / Shunsuke Takahashi

1954年東京都生まれ。東京大学工学部航空工学科を卒業後、日本国有鉄道に入社。プリンストン大学工学部修士課程を修了し、マッキンゼー・アンド・カンパニ-東京事務所に入社。1993年に世界有数の人事組織コンサルティング会社である米国ワイアットカンパニーの日本法人ワイアット株式会社(現ウイリス・タワーズワトソン)の代表取締役社長に就任。社長退任後は、個人事務所ピープルファクターコンサルティングを通じ、コンサルティング活動や講演活動、人材育成支援等を行う。2022年4月より慶應義塾大学 SFC研究所上席所員。キャリア形成、人材マネジメント、リーダーシップ、働き方改革などに確かな知見を有し、本質を見抜く目に定評がある。

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