いまビジネスの世界で、「リスキリング」(学び直し)が注目を集めている。
リスキリングの本質は「変化する社会で、今後必要なスキルや技術を学ぶ」ことで、そこでは「独学力」が決定的に重要になる──。
30年以上にわたり、人事や人材マネジメントの研究を続けてきた高橋俊介氏が、このたび「社会人の学び方」を1冊で完全解説した『キャリアをつくる独学力──プロフェッショナル人材として生き抜くための50のヒント』を上梓した。同書は、発売後たちまち大増刷するなど、話題を呼んでいる。
世界有数の人事コンサルティング会社の日本法人代表を務め、日本に「キャリアショック」という概念を広めた「キャリア論の第一人者」でもある高橋氏が、「「無駄なこと」「寄り道する」人が結局、仕事でも成功する深い訳」について解説する。
「効率性重視」をキャリアに取り入れるのはリスキー
「日本はビジネスの『効率性』『生産性』が低い、だから成長が鈍化している」などと言われて久しい世の中です。
もちろん、ビジネスにおいて、効率性を高めることは重要な課題でしょう。
しかし、その「効率性重視」を自身のキャリアにも当てはめてしまうと、それが「職業人生のリスク」になることもあるのです。
「無駄なく効率的に」というのは、一見スマートで、いわゆるコスパやタイパのよいキャリア形成のように思えます。
寄り道をせず、無駄なことをせず、自分のキャリアに必要と思われるもの「のみ」を取り入れていく……。
しかし、いまのような「変化の激しい時代」において、このように「無駄なく効率的に」キャリアをつくろうとすれば、どうなるでしょうか。
そこには「大きな落とし穴」が潜んでいるのです。
次ページからは、キャリアに「効率性」を求めることのリスク、そして「無駄なこと」「寄り道」をすることが結果として、満足度の高いキャリアを築くことにつながる理由について、解説していきます。
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