まず、大前提として、「キャリアにおいて『無駄なく効率的に』がリスクになる」のはなぜでしょうか?
「無駄なく効率的に」は、目標とプロセスの管理可能性と予測可能性が高く、シナリオを事前に細かく決めることができる場合のキーワードです。
たしかに製造現場では「ムリ・ムダ・ムラ」の排除が生産性を上げます。しかし、「職業人生」は長期にわたり予測が難しく、「偶然」が大きく作用します。にもかかわらず「職業人生」のシナリオを決めてしまえば、「想定外の事態」に対応しづらくなります。
「無駄なく効率的に」という合理性は、物事がシナリオ通り進んだ場合のみ当てはまるのです。逆に、特定の状況に過剰適応した計画は、変化に最も脆弱とも言えます。
たとえば、受験では志望校の試験日も試験科目も決まっており、過去問で対策も立てられます。しかし、人生やキャリアは、受験勉強とは異なり、「想定外の事態」の連続です。
たとえていえば、人生とキャリアの世界では「試験直前に試験科目が変更になる」こともあるのです。効率性を重視して試験科目のみ勉強していたら……結果は惨憺たるものでしょう。
時には「無駄」と思えることも大切
このように、「効率性」を求めるほど、結果的に、自分のキャリアは限定的で、狭い範囲のものになりがちです。
キャリアを掘り下げ、かつ広げていくためには、無駄を省いて効率性を重視するよりも、一見「無駄」や「遊び」と思えるような、しかしそれが広範なビジネス遂行力の基礎となりうる経験や学びを、若いうちに身につけることが大事になります。
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