結果は、Jリーグの各チームに、総じて低い評価が下されたのです。なかでもとくに低かったのが、選手の「オーナーシップ」の項目でした。
勝ったドイツは「チームとしての独学力」が強かった
サッカーでは、フォワード、ミッドフィールダー、ディフェンダー、キーパーと、1人ひとりの基本的な役割は決まってはいますが、いざ試合が始まると、ハーフタイムまで監督やコーチの「細かい指示」を得られません。
そのため、その場その場で「個人の判断」が求められ、展開次第で役割をいくらでも柔軟に変化させていくことが求められます。本来は守りのディフェンダーが攻撃に加わり、シュートしてもかまわないのです。
役割を柔軟に変化させるため、選手自身が状況変化を観察し、判断し、仲間に伝達し、チームとして戦術を「主体的に」変化させ、行動変容していく。それで成果が出なければ、また「観察→判断→伝達→行動変容」と、短いときは分単位で繰り返す。
ビジネス用語でいえば、「高速回転のジョブデザイン行動」です。それを選手1人ひとり、そしてチームが実践するわけです。
ドイツのチームが選手の「オーナーシップ」を重視したのは、「選手1人ひとりのジョブデザイン行動」と「チームとしての自律的戦術形成能力」を高めるためでした。
また、オーナーシップの中には「練習の主体性」の項目があります。練習のメニューのうち、監督やコーチから指示されたもののほかに、次週に戦うチームとの対戦を想定した練習など、選手たちが自発的に行うメニューの割合を評価します。
いわば「チームとしての独学力」で、これが日本のチームは、残念ながらきわめて弱い。日本では、「練習のメニューは監督やコーチが決めるものであり、指示どおり練習する」という発想が染みついていたのです。
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