池上彰氏が解説「聖書を知らないと損をする訳」 世界情勢を知るうえで押さえたい前提知識

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
『聖書』を知ることは、世界を理解することにもつながるといいます(写真:SeventyFour/PIXTA)
世界で最も読まれている書物である『聖書』を多くの日本人は読んだことがありません。しかし、『聖書』を知ることは、世界に通用する教養を身につけることであり、世界を理解することにもつながる、と池上彰氏は言います。同氏の著書『聖書がわかれば世界が見える』より、教養として押さえておきたい聖書の基本を一部抜粋して解説します。

『聖書』は世界の教養である

先日、あるイギリス映画を見ていたところ、主人公が友人たちの前で、自分の妻を褒め、次のような形容をしていました。

「ソロモンより賢く、サムソンより強く、ヨブより忍耐強い」

要は、私の妻でいられるのだから、という自虐的なギャグなのですが、ここに出てくる名前は、すべて『聖書』に登場します。これなど『聖書』の内容を知らないと理解できませんね。観客はみんなキリスト教の基礎的な素養があることを前提に映画が制作されていることがわかります。

国際政治の場でもキリスト教は登場します。アメリカの大統領就任式で、大統領は『聖書』に手を置いて宣誓します。アメリカの紙幣にもコインにも「我々は神を信じる」と記されています。アメリカがキリスト教国家であることがわかります。

欧州統一の動きが進むEU(欧州連合)は27カ国にまで増えましたが、トルコは加盟申請をしても、なかなか加入が認められません。EU側は言を左右にして認めませんが、本音はイスラム教徒の多いトルコを入れたくないからです。27カ国を見ると、カトリック、プロテスタント、東方正教会の違いはあれ、いずれもキリスト教徒が多数を占める国ばかりなのです。

次ページイスラエルの建国も『聖書』の記載を元に
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事