池上彰氏が解説「聖書を知らないと損をする訳」 世界情勢を知るうえで押さえたい前提知識

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誘惑に負け、イブは知恵の実を食べ、アダムにも食べさせます。

「2人の目は開け、自分たちが裸であることを知り、2人はいちじくの葉をつづり合わせ、腰を覆うものとした」

人間は、禁断の実を食べたことで知恵がつきます。神は人間たちが知恵をつけることを望んでいなかったというのです。人間は知恵を得たことで、その後の苦難の道が始まります。

ちなみに「知恵の実」はリンゴというイメージを持っている人もいると思いますが、『聖書』にはそうは書かれていません。後世にリンゴと誤解されるようになったと言われています。iPhoneなどで知られるアップルのシンボルマークは、リンゴの一部が齧られたもの。これも「知恵を持った」ということを示しています。ここにも『聖書』に関する知識が背景にあるのです。

2人が知恵の実を食べた日、神がやってきて2人が裸でないことに気づき、2人は知恵の実を食べたことを白状します。そして、アダムとイブはエデンの園から追放されてしまうのです。

ノアの箱舟の物語

地上に人間たちが増えると、悪いことをする人間が増え、神は人間を創造したことを後悔したといいます。

主は、地上に人の悪が増し、常に悪いことばかりを心に思い計っているのを御覧になって、地上に人を造ったことを後悔し、心を痛められた。主は言われた。

「私は人を創造したが、これを地上から拭い去ろう。人だけでなく、家畜も這うものも空の鳥も。わたしはこれらを造ったことを後悔する」

神様でも後悔することがあるのですね。

この時代の神様は、実に人間的です。 後悔した神は、地上のすべての生き物を絶滅させようと考えるのです。神を怒らせると怖いですね。神の一存で、人間など消えてしまうのです。

神は大洪水を起こし、地上の生き物すべてを絶滅させようとしますが、ノアは信心深かったので、ノアとノアの一族だけは助けようと考えます。そこで事前にノアに「箱舟」を造るように指示します。

箱舟とは、屋根のある船です。大雨を降らせるので、船が浸水しないようにというわけです。

さらに集められるだけの食料を積み込み、あらゆる動物をメスとオスの一対ずつ船に収容させるように命じます。

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