後継者不足?「幹部育成」に苦心する企業の悲鳴 人事部も経営企画部も研修担当を敬遠も

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2つめは自分たちが参加していない経営会議の情報を把握して対応する自信がないとのことでした。

さらに推薦された経営企画部も、「やるべき仕事が溢れており、担当するマンパワーがない」と辞退してきました。

こうして担当者が決まらず、幹部研修は実施ができないまま時間だけが過ぎている状況とのことでした。経営者としては高い課題意識があるでしょうから、大いに困っていると想像できます。

問題は意外なところに隠れている

同じように通常の研修とは比較にならない重い負担を鑑みて、実施に苦慮する企業が多いと思われます。皆の手にあまる結果として、経営陣と人事部に加え、外部の専門家を加えてプロジェクトとして立ち上げるケースが増えてきていますが、意外なところに問題が隠れているのですね。

何とか幹部研修がスタートしたとして、次に出てくる課題が「成果の見える化」です。

期待通りにこの研修が幹部候補者の成長機会となっているのか? これを測定することがとにかく簡単ではありません。

そこで行われるのがアセスメントです。インタビューやテストを通じて、学びが身にについているのか、実践に活かせる状況になっているのか、それぞれ確認をしていくのです。

そこで課題を見つけて、次の学びにつなげていく必要があります。ここまでしっかりと行えている企業は多くはありません。経営者の課題意識の高まりに伴い、少しずつ取り組みがスタートしつつあるというのが多くの企業の現状です。

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ただ、取り組みが遅れることは、経営的に大きな痛手になる可能性があります。具体的に幹部研修で学んだ業界動向を参考に営業戦略を改革。競合とのシェアで大きく改善につながったとの話を聞きました。ということは、シェアを下げた企業は営業戦略が旧態依然としていた、その差が幹部研修で生まれたということなのでしょう。

コロナ以降の経営は不透明な状況にあります。幹部研修を活用して新たな戦略策定の機会としている企業もあると考えると、早めに取り組んでいくべきかもしれません。

高城 幸司 株式会社セレブレイン社長

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たかぎ こうじ / Kouji Takagi

1964年10月21日、東京都生まれ。1986年同志社大学文学部卒業後、リクルートに入社。6期トップセールスに輝き、社内で創業以来歴史に残る「伝説のトップセールスマン」と呼ばれる。また、当時の活躍を書いたビジネス書は10万部を超えるベストセラーとなった。1996年には日本初の独立/起業の情報誌『アントレ』を立ち上げ、事業部長、編集長を経験。その後、株式会社セレブレイン社長に就任。その他、講演活動やラジオパーソナリティとして多くのタレント・経営者との接点を広げている。著書に『トップ営業のフレームワーク 売るための行動パターンと仕組み化・習慣化』(東洋経済新報社刊)など。

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