業界や市場動向を理解したうえで「会社の成長に向けた課題は何か」をしっかり理解。そのうえで、何をいつまでに実施すれば達成できるのかを、事業や人材・組織・財務・DXなど多角的な視点で整理していくことになります。
机上の空論にならないよう、具体的なケースを参考にしつつ学べる機会も必要となります。1回で終わることなく、半年以上かけて、数回にわたるプログラムを実施。参加者は本業の仕事をやりながら、並行して真面目に取り組んでいかなければなりません。かなりの手間と時間とコストがかかりますので、本格的に実施する会社は限られているのが実際です。
もっとも育成が遅れている幹部人材
株式会社ジェイック社のアンケートでは、経営者にアンケートを行うと、もっとも育成が遅れているのが幹部人材であるとの結果が出ています。
中期経営計画を立てているある経営者から聞いた話です。
後継者が育っていない。さらに後継者とともに経営のバトンをわたせる幹部候補が見当たらない。あと5年で引退したいのだが、このままでは難しい……と悩んでいる様子でした。
日本全体の高齢化が進んでいるのと同様に、経営者の高齢化が進んでいる日本企業も少なくありません。経営者の危機意識は高まり、幹部人材の育成に取り掛かる必要性が高まっていると言えます。
このような背景もあって幹部研修のニーズは高まっているのですが、ここで大きな問題に直面します。誰が担当して行っていくのか?です。
通常の研修は人事部が担当を担います。なので、幹部研修も人事部が担当するかというと、そこで壁につきあたったりします。
ある会社で起きた出来事を紹介しましょう。経営者の指示で幹部研修に取り組むことになり、その担当として人事部が指名されました。すると指名された瞬間に「経営企画が担当するべきではないでしょうか」と回避しようとする発言を人事部長が行ったのです。
理由は2つ。1つは人選が難しいことです。幹部の定義をどのようにするのか? 最近の傾向では後継者育成計画=サクセッション・プランとして次世代の幹部候補を加えた形での実施を希望する経営者が増えています。役職だけで線が引けない人選となるので「どうして自分は選ばれたの?」という説明は難しいものがあります。
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