14時間労働とパワハラ、心が壊れてしまった過程 1日30回の電話やトイレの回数監視まで…

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神社という閉鎖的な職場環境で、みずほさん(26歳・仮名)が体験したハラスメントとは(写真:TACHYON/PIXTA)
「パワハラが原因でうつ病になった」「職場で受けた仕打ちのせいで人と接するのが怖くなった」「就労が困難になり困窮した」……ブラック企業という言葉が定着して久しい日本社会では、こういった体験を見聞きすることは決して珍しくないだろう。
本連載ではそうしたハラスメントそのものについてだけでなく、まだ十分に語られてきていない「ハラスメントを受けた人のその後の人生」について焦点を当てる。加害者から離れた後の当事者の言葉に耳を傾けることで、被害者ケアのあり方について考えられると思うからだ。
今回インタビューに応じてくださったのは、東北地方のある神社に巫女として勤めていた、みずほさん(26歳・仮名)。特殊な環境と思われたが、話を聞くにつけ閉鎖的な環境の中小企業に共通する課題が浮かび上がっていった。

加害者は神社のトップである30代の宮司だった

――本日はよろしくお願いします。答えるのがつらい質問のときには「スキップ」と言っていただければ別の話題に移りますので、気兼ねなくおっしゃっていただければと思います。

承知しました。

――初めに、これまでのキャリアを簡単にご説明いただけるでしょうか。

美大で日本画を専攻し、卒業後は小さな食品メーカーに就職しました。そこで1年ほど働いたあと、正社員の巫女の求人票を見つけ、興味を抱いて転職しました。

ハラスメントに遭ったのはその巫女として働いている期間です。

加害者は神社のトップである30代の宮司でした。 私が働き始める数年前に父親から跡目を継いだそうで、子供の頃から跡継ぎとして周りからちやほやされて育ったのが見て取れるような、横柄で世間知らずな人、というのが同僚たちとの間で共通していた見解です。

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