14時間労働とパワハラ、心が壊れてしまった過程 1日30回の電話やトイレの回数監視まで…

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それに、私が職員の中で1番いい待遇だったんですよ。怒鳴られる回数が圧倒的に少なかったんです。他の人はもっとひどくて。私は何かしら理由があって――その理由も納得のいくようなものではなかったですが――怒鳴られていたけど、サンドバッグのように理由なく八つ当たりされる人もいました。だから私は全然いいほうだし大丈夫って思ってたんですよね。

――特にひどい扱いを受けていたのはどんな同僚でしたか?

素人が断定的なことを言うことはできませんが、日常生活にもちょっと支障があるような、非定型発達傾向を感じる子でした。指示されたことを実行するのに時間がかかったり、一度にたくさん言われるとパニックになったり。あと、高圧的な宮司に対してもストレートにものを言うので、反抗的だと思われていました。そんな調子なので、同僚からもトラブルメーカーとして敬遠されていて。宮司のせいでそんな状況が生まれているわけですが、そういった雰囲気すらも「みんながお前と働きたくないって言ってるんだぞ!」と攻撃の理由にしていました。

退職するきっかけになった出来事

私は彼女にできないことを請け負って仕事を再分配して、どうにか助け合っていけないかと必死だったのですが、結局彼女は数カ月で辞めてしまいました。ああいうハラスメント体質が根付いた職場では、非定型発達傾向のある人はよりつらい思いを強いられると思います。

私も私で、自分はまだ扱いのいいほうだと思っていたのもあって、彼女のことばかり考えて自分のケアを二の次にしてしまっていました。

――退職するきっかけになった出来事を教えてください。

ハラスメント被害者の「その後」の話
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入社して3年と少し経った頃、祈祷中に立っていられないくらい強い目眩がして救急搬送されたんです。1週間は絶対安静と言われ、休職に入りました。次第に期間が1カ月、2カ月と延びていき、数カ月後に最終的な診断名がついたのを受けて退職しました。

休職に至るまでの対応も信じられないものでした。1週間絶対安静という診断書をもらって宮司に電話をすると、開口一番「え? もう有休残ってないよ?」と。休職を有休でまかなわせようと思っていたんです。

(後編はこちら

ヒラギノ 游ゴ ライター/編集者

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ひらぎの・ゆうご / Yugo Hiragino

ライター/編集者。

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