14時間労働とパワハラ、心が壊れてしまった過程 1日30回の電話やトイレの回数監視まで…

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勤めていた神社は東北の山奥にある比較的大きなところでした。立地的に外界から隔たっていることもあってひどく閉鎖的な環境で、それゆえに宮司の異常性がどんどん際立っていったように思います。

――最も異常性を感じたのはどういったことでしょうか。

監視カメラですね。防犯のため境内に設置されたものではなく、事務所の中に仕掛けられているカメラです。つまり、我々職員を見張るためのものなんです。

トイレに行く回数が多いと罵られる

神社内の宮司の居室だけでなく、宮司の自宅からもカメラの映像が見られるようになっていました。トイレに行く回数が多いとか、少しでも普段と違う動きをするとすぐに電話がかかってきて、自分の行動の弁明をさせられました。そして「そんな無駄なことをするな」「頭が悪い」「お前は馬鹿か」と罵られる、という流れが日常になっていました。

また、何も理由がなくても機嫌が悪いときには八つ当たりで職員に罵詈雑言を浴びせていました。理由は夫婦関係で虫の居所が悪いとか、神社の仕事と別でやっているサイドビジネスがうまくいっていないとか。あとは大きなお祭りの前は緊張からか必ず不機嫌になるので、手当たり次第に職員を怒鳴り散らしていましたね。

ひどいときは1日30回ほど私の私用の携帯電話に電話がかかってきました。そのせいで、退職してしばらくは電話が鳴るたびにフラッシュバックのような状態になっていました。

――仕事内容はどのようなものでしたか?

仕事内容はかなり多岐にわたっていて、だいたい平均1日14時間くらいは働いていました。

主に電話受付と事務作業、参拝者さんの対応。そのほか祭祀の補佐、備品の管理と補充、境内の掃除、WebサイトやSNSでの発信。あとは定期的なお祭りや地鎮祭に関する諸々の作業ですね。

地鎮祭というのは平たく言うと新しい建物を建てる際の儀式です。巫女の仕事はその建物のオーナーとのやりとりと事前準備、運転と祭祀の補佐、あと、1日に4、5件回るので、そのルート設定とスケジューリングですね。

ただでさえやることが多く、休憩もほぼない中、宮司から呼び出されれば事務所から宮司のいる本殿まで60段の階段を走って上がっていかなければいけなくて。それを日に10往復ほど繰り返すので、家に帰ると玄関で倒れてしばらく動けなくなってしまうことが多かったです。

休みは月に4日あったらいいほう。会議はすべて宮司の都合で決められていたので、休みの日とかぶったら有無を言わさず出勤させられました。また、定期的に宮司の指定するセミナーに行かされていたのですが、それも有給休暇をとって行かなければなりませんでした。

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