14時間労働とパワハラ、心が壊れてしまった過程 1日30回の電話やトイレの回数監視まで…

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――給与について伺ってもよろしいでしょうか。

手取り14万円でした。最初の1カ月は試用期間でさらに少ないというのは聞いていたんですが、理由をつけて試用期間を延ばされ、その間は特につらかったです。

ただでさえ厳しいのに、さらに罰金として30万持っていかれたこともありました。

地鎮祭から帰って神社の駐車場に車を停めるとき、車体をこすってしまったことがあるんですが、宮司から「私有地での事故は自腹だ」と言われて。

自分以外の誰かが宮司の標的になるのを心待ちに

――いまいち意味が理解できなかったのですが、どういうことでしょう?
 
「自分がやったことの反省を促すため」と言っていました。普通に届け出れば保険が下りるので、宮司自身にとってもあまりメリットがないと思いますし、筋の通った理由なんてないのだと思います。あるいは保険金を受け取ったうえで私からも徴収したのか。

そのとき私は入社したばかりで、右も左もわからなかったし、罪悪感と恫喝によって従わざるをえなくて、全額支払ってしまいました。

――同僚とはハラスメントのつらさを共有できたのでしょうか。

できませんでした。むしろ逆で、全員が自分以外の誰かが宮司の標的になるのを心待ちにしているような状態でした。何か問題が起きたときには、自分がその問題に関わっていないことを証明するのにみんなが必死になっていました。

私が仕事でミスをすると、先輩が薄ら笑いを浮かべていたのを覚えています。それで1日宮司の矛先が私に向くのがうれしくてたまらない、それを隠すつもりもない、といった同僚が大半でした。

巫女はだいたい1年で辞めていきました。理由は全員宮司に耐えられなくなってです。宮司はまったく懲りずに「お前らは馬鹿だから耐えられないんだ」「根性がない」「俺についてこられない奴はいらん」と嘯いていました。

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