もし「日銀バブル」が崩壊したらどうなるのか 日経平均「15年ぶり高値」の裏側にあるもの

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中野:まあ、でもこうしてせっせとETFを買っているわけですから、株価そのものは上がりますよね。

渋澤:225平均株価で2万円という声がだいぶ高まってきましたが、自然とその水準に達するでしょう。ただ、ゼロ金利ということは、経済成長もないことを意味します。なのに、株価だけは上がっている。

藤野:水をどんどん足して、お風呂の水位が上がっているのと同じ状況ですからね。逆にお風呂の栓を抜けば、ぐっと水位が下がる。だから、栓を抜かないかぎり、株価は上昇し続けるでしょう。

渋澤:この世で無限なのは、宇宙と中央銀行(笑)。

藤野:中央銀行の爆買いが続くと、いつの日かビッグバンです(笑)。

中野:それ、怖いですよね。お札をどんどん刷ってETFを買い続けると、日銀に対する信用が大爆発するかも。

個人投資家にコツコツ投資を説く「草食投資隊」の地道な活動が、いま実り始めている(左からセゾン投信社長中野晴啓さん、コモンズ投信会長渋澤健さん、レオス・キャピタルワークスCIO藤野英人さん)

藤野:お金は日銀に対する信用が裏付けになって初めて価値が生まれるものだから、その信用が崩壊したら、現金を抱えていること自体がリスクになります。現金で持っていれば安心だと思っているのであれば、ちょっと考えなおした方がいいかも知れません。

渋澤:その意味では、株式投資の方が安心とも言えますね。現金は、中央銀行に対する信用がなくなれば価値がなくなる恐れがありますが、仮にそうなったとしても、日本人の生活は続きます。その生活のために必要な、日本企業に対する信用までなくなるわけではありませんから。

藤野:確かに。先の戦争でも、実は株価は上がっていましたからね。

渋澤:まさに究極のリスクヘッジ手段。

中野:株式は企業の実体が裏付けになっていますからね。ここまで大量にお金を刷るという現実を目の当たりにすると、逆に現金のほうが、バーチャルな存在かも知れません。そこをしっかり理解したうえで、自分の資産の置き場所を考えてもらいたいですね。

草食投資隊 渋澤 健、中野晴啓、藤野英人

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そうしょくとうしたい

コモンズ投信会長・渋澤 健、セゾン投信社長・中野晴啓、レオス・キャピタルワークス社長CIOの藤野英人の3氏で結成。根底には、「長期投資を根づかせたい」という3人の熱い思いがある。「草食投資隊」という名前は、投資=肉食系というイメージが一見つきまとうが、本質は違うのではないか、という3人の共通の考えによる。

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