中野:確かに、イールドカーブ、すなわち金利曲線を見ると、今まで見られなかった形をしていますよね。本来イールドカーブって、短期が低くて、長期になるほど上がっていくという形だったのですが、最近は短いところから中期にかけて下がり、その先の長いところに向けて上昇していくという形になっています。
マイナス金利というバブルは、なぜ起きているのか
藤野:経済の教科書になかった現象ですよね。
中野:そもそも「マイナス金利」って経済の教科書に載っているんでしょうか。
渋澤:載っていないでしょう。このままだと日本でもいずれマイナス金利が実現しそうですよね。これ、明らかにおかしい現象でしょう。本来、金利ってお金を借りた側が、お金を貸した側に支払うものですが、これが逆転するということでしょう。あまりにもおかしな話だし、そのなかで株価が上昇するのはいいけれども、あまりにも不安定という感じがします。
藤野:まあ、そうなのですが、でも下がるとはかぎらないのがマーケットなのですよね。
渋澤:でも、それってバブルでしょう。
中野:仮に今、起っているのがバブルだとしても、それがいつ弾けるのかがわからない。下手をすれば上に持っていかれてしまう恐れがある。だから、買わざるをえないというのが、今の株高の裏にあるようですね。
藤野:マーケットの主要プレイヤーが、ヘッジファンドから各国中央銀行に移りましたよね。特にリーマンショック以降、その傾向が加速した印象を受けます。
中野:それは当初、合理性があったと思うのですよ。何しろリーマンショックの直後は、マーケットから完全に流動性が消えてしまったのですから。まさに中央銀行が最後の買い手になったわけです。
ただ、異常な事態が収束したら、さっさと中央銀行は奥に引っ込まなければならなかったのに、ずっと主役の座に居座り続けてしまった。米国は今、ようやく出口に差しかかってきましたが、その途端、今度は日本と欧州が量的金融緩和を実施して、状況がますますおかしくなったというのが、現状でしょう。
渋澤:市場に流動性を供給という大義で、日銀はETFやJ-REITを買っているじゃないですか。欧米って、どうなんだろう。
中野:少なくとも米国の場合は、国債とファニーメイなどの住宅ローン債権です。
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