本当の優良企業とは、社員に投資する会社 自社株買いや配当増の前にやることがある

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(写真:ocsa/PIXTA)
自分の年収がどのくらいになるのかは、働く人なら誰もが気になるところでしょう。春闘ではトヨタ自動車が4000円のベースアップで労使妥結、日産自動車はトヨタ自動車を上回る5000円でした。
しかし、ある民間リサーチ会社が作成したレポートによると、「2014年10-12月期の労働分配率は60.4%と1990年代初頭の水準まで低下。特に製造業の労働分配率は54.8%で、1980年以降、最も低い水準であり、企業収益の好調にもかかわらず、人件費抑制がまだ続いているとのこと。折しも、2015年3月決算では過去最高益を更新する企業が続出していますが、そこで働いている人たちのお給料は、今後、ちゃんと上がっていくのでしょうか。今回はこの切実な問題を、草食投資隊の3人に話してもらいました。

業績と賃金の関係は別物?

藤野:う~ん、これはあまりいい話ではありませんね。終わった2015年3月期の企業業績は周知のとおり、かなり好調でしょう。だから、従業員に対する配分も、ちゃんと考える必要があります。ま、このレポートは2014年10ー12月期の数字に基づいた分析だから、過去最高益の更新が相次ぎ、賃上げに踏み切る企業が出始めた今に比べて、内容面でややズレがあるように思えますが、この局面で賃上げに踏み切らない企業が続出するようであれば、日本の景気は終わりますね。

中野:僕は、四半期ベースで労働分配率を見ても、あまり意味はないと思っています。経営側からすれば、そこまで細かく期間を区切って、従業員への配分を調整することはありませんから。

渋澤:経営者のお給料は一向に上がらない。

中野:まあ、それは経営者の場合、最後の最後ですからね。まずは従業員の賃上げが最優先で、経営者はそのあと。

渋澤:企業業績と賃金の関係はよく考える必要がありますね。本来は別物だと考えています。確かに、業績が上がっているから賃金も上がるという見方はできるのですが、一方で、従業員の賃金をカットしたから業績が改善するとも考えられます。だから、過去最高益を更新する企業がたくさんあるからといって、それが即、従業員の賃金上昇につながっているとはかぎりません。

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