マスクが子どもの脳と心の成長を阻むリスクとは 子どもは相手の表情や口の動きを真似て学ぶ
これは、すでに答えが出ている問いではありません。しかし、こうした点に意識を向け、真剣に議論しておくことはきわめて大事だと思います。実際に、子どもたちに何も起こらなければそれでいいのです。しかし、何かが起こってから事後的に対処していては、あまりに遅すぎる問題です。
しかし日本では、こうした点に目を向け、危惧を抱く方は多くありません。日本社会には、子どもを含む「すべての」人に、一律にルールを当てはめようとする暗黙の空気が満ちています。多数派の意見、方向に従うことで、安心感を得ようとする無意識的な心的バイアス、文化を持つ国だと改めて感じました。
「毎日マスク」に潜む大きなリスク
子どもにとってとくに問題になるのではないかと感じてきたのが、「マスクの着用」です。
たとえば乳幼児期は、目の前にいる人の表情や声かけを日常的に経験しながら、言葉や他者との関わり方を身につけていく重要な時期です。しかし、マスクをした他者との日常が当たり前になってしまうと、そうした学びの機会が大きく失われてしまうことになります。
2つめが、「身体的距離の確保」です。これも、乳幼児期には不可欠な経験の1つです。そもそもヒトという生物は、哺乳類動物の一種です。乳幼児期には、親をはじめとする誰かとの身体接触なしには、生存することすらできません。それにもかかわらず、コロナの感染対策の徹底を訴える人たちの頭の中は、残念ながらこうした視点がごっそり抜けて落ちてしまっています。
パンデミックが始まってから、3年が経とうとしています。パンデミック当初に生まれた子どもたちは、もう3歳になろうとしているのです。
何の議論もなく、このまま現行の「新しい生活様式」を続けていってよいのか。子どもたちの脳と心の健全な発達に必要となる環境を、できる限り取り戻していく努力をすべき時期ではないのか──。
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