マスクが子どもの脳と心の成長を阻むリスクとは 子どもは相手の表情や口の動きを真似て学ぶ
2020年5月、新型コロナウイルス感染症対策の一環として、政府は「新しい生活様式」の実践を国民に提唱しました。
中でも感染症対策の基本としてとくに強調されたのが、①身体的距離の確保、②マスクの着用、③手洗いでした。それから2年以上経ちましたが、今も保育園や幼稚園、学校など、子どもたちが過ごす多くの現場でこの3つが守られ続けています。
しかし、子どもにこれらを強いることは、本当に正しいことなのでしょうか。
大人目線で考えられた「新しい生活様式」
私は、人間の脳や心が発達していく道筋を明らかにしようという研究をしている者ですが、「新しい生活様式」が求められた当初から、その実践内容が大人目線でしか考えられていないと感じてきました。その理由は明確です。子どもは、環境の影響を大きく受けながら脳を発達させている、まさにその途上にある存在だからです。
すでに完成した脳を持っている大人にとっては、「新しい生活様式」は多少の不便さはありながらもなんとか実践していくことは可能でしょう。しかし、もしこの様式の実践がさらに長期化し、これが当たり前の日常になったら、子どもたちの脳や心にどのような影響がもたらされるのでしょうか。
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