マスクが子どもの脳と心の成長を阻むリスクとは 子どもは相手の表情や口の動きを真似て学ぶ

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大人の「新しい生活様式」が、子どもたちの正常な発達を阻害するリスクになりうる(写真:kouta/PIXTA)
コロナ対策の一環として「新しい生活様式」が提唱されてから2年──ウイルスの弱毒化を指摘する専門家も多いなか、日本人の大半はいまだに「毎日マスク」の日常から脱却できていません。保育や教育の現場でも「密」を避け、顔をマスクで覆うことが、“感染対策”の名のもとに継続していますが、これらが子どもたちの心身の正常な発達を阻害するリスクについては黙殺されています。
「子どもの脳は、大人のミニチュア版、小型版ではない」と警鐘を鳴らす京都大学大学院の発達科学者・明和政子さんの最新刊『マスク社会が危ない 子どもの発達に「毎日マスク」はどう影響するか?』から一部抜粋・再編集してお届けします。

2020年5月、新型コロナウイルス感染症対策の一環として、政府は「新しい生活様式」の実践を国民に提唱しました。

中でも感染症対策の基本としてとくに強調されたのが、①身体的距離の確保、②マスクの着用、③手洗いでした。それから2年以上経ちましたが、今も保育園や幼稚園、学校など、子どもたちが過ごす多くの現場でこの3つが守られ続けています。

しかし、子どもにこれらを強いることは、本当に正しいことなのでしょうか。

大人目線で考えられた「新しい生活様式」

私は、人間の脳や心が発達していく道筋を明らかにしようという研究をしている者ですが、「新しい生活様式」が求められた当初から、その実践内容が大人目線でしか考えられていないと感じてきました。その理由は明確です。子どもは、環境の影響を大きく受けながら脳を発達させている、まさにその途上にある存在だからです。

すでに完成した脳を持っている大人にとっては、「新しい生活様式」は多少の不便さはありながらもなんとか実践していくことは可能でしょう。しかし、もしこの様式の実践がさらに長期化し、これが当たり前の日常になったら、子どもたちの脳や心にどのような影響がもたらされるのでしょうか。

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